Wi-Fiのビジネス活用術(第7回)

娯楽施設と無料Wi-Fiはなぜ相性が良いか

2017.01.06

 今、企業では働き方改革に熱い視線が注がれている。労働人口の減少に備えて、いかに生産性を上げるか、多様な働き方に対応するのかが追求されている。それを助ける手段の1つとして注目されているのが、無線LANつまりWi-Fiの活用である。「パソコンのネットワーク接続を有線から無線に切り替えて働き方が変わるのか?」と疑問に思うかもしれないが効果は大きい。

 オフィス内にWi-Fiを導入することで、机に座ってデスクトップパソコンを使うだけではなく、会議室など別フロアでもノートパソコンやタブレット、スマートフォン(以下、スマホ)で仕事ができるようになる。会議や打ち合わせの際に紙の出力や手渡しも不要になり、モバイル端末の画面上で資料の確認や情報を検索しながら議論を進められる。つまり場所に縛られずに、時間を有効に使えるようになるのだ。

オフィスよりも娯楽施設に需要

 Wi-Fi導入の需要が大きいのはオフィスだけではない。レストランやカフェなどでも導入しているところは多い。今やカフェでノートパソコンを操作するビジネスパーソンの姿は日常的な風景になっている。最近は、さらに多様な場所にWi-Fiが導入されている。例えば娯楽施設や、ホテル、ドライブイン、病院などだ。実際にNTT西日本が提供する「スマート光ビジネスWi-Fi」の導入実績では娯楽施設が最も多いという。

 その理由として考えられるのは、Wi-Fiの導入により、顧客満足度の向上につなげていることだ。無料でインターネットにアクセスできる環境があれば、混雑による待ち時間があってもスマホで時間潰しができ、待つストレスを軽減できる。

 県内外に11店舗を展開する娯楽施設では、2016年末、無料のWi-Fi環境を全店に導入した。狙いは来訪者の滞在時間を長くすることだ。また、リピート率の向上も期待している。NTT西日本のスマート光ビジネスWi-Fiを採用。さらにトラブルがあったときに遠隔でサポートを受けられるようにする「オフィス安心パック」も契約して、各店舗にシステム管理者を置くことなく運用している。このようにWi-Fiを導入する例も少なくない。

 NTT西日本以外にも多くの企業がWi-Fi環境を提供するソリューションを用意している。例えば大塚商会は「たよれーる らくらくWi-Fi」をビジネス向けに販売している。端末ごとのデータ通信量をリアルタイムに可視化し、端末に合わせて接続方法を最適化できることが特長だ。

Wi-Fi導入で店舗滞在時間が長く

 無料で使えるWi-Fiを導入すると、なぜ滞在時間が長くなり、リピート率の向上も期待できるのか。それはスマホの使い方を見ればおのずと理解できるだろう。スマホはメールをやり取りしたり、情報を検索したり、ショッピングをしたり、さまざまな用途に使われている。YouTubeなどの動画を楽しんだり、ゲームに興じたりする人も多い。

 こうした“スマホ使い”にとっての悩みは、電池の持ちと通信制限と通信料金だ。ただ、電池容量は最近かなりの進化を遂げ、普段使う分にはほぼ問題ないレベルに向上した。高性能で小型の充電バッテリーが発売されているので、予備電源として持ち歩けばある程度カバーできるだろう。

 問題は通信制限と通信料金だ。携帯電話回線は動画なども快適に閲覧できる通信スピードにはなってきているが、少しの視聴でもデータ通信量はかなり大きくなる。ちょっと楽しむだけでも契約しているデータ通信量の上限に近づいてしまうケースもある。すると通信速度に制限がかかり、動画をストレスなく楽しむことはできなくなる。かといってデータ通信量の上限がないプランを契約すると、月々の通信料金が高くなってしまう。

 そんなスマホユーザーの悩みは、無料Wi-Fiがあれば解決する。Wi-Fiによる接続なら、通信量の制限を気にせずに使える安心感がある。無料Wi-Fiの恩恵で来店リピートも増える。客が長く滞在することで、売り上げに結び付くカラオケ店などでも間接的な増収策となるはずだ。

 大きな店舗を構えるような業種ではなく、中小規模の店舗を運営している場合にも、Wi-Fiの導入は効果的だ。苦労の末、人気が出て行列ができても、待ち時間が増えることにより顧客満足度の低下につながっては意味がない。待ち時間対策として、スマホを気兼ねなく使える環境を用意しておく効果は大きい。

手軽に安価で導入できる顧客満足度向上策として

 NTT西日本のスマート光ビジネスWi-Fiは、手軽に安価で導入できる点も評価されている。Wi-Fiルーターは小型で場所を取らないし、1本の光回線を音声通話とデータ通信の両方の目的で利用することでコストを抑えられる。同じWi-Fi環境で、社内用のネットワークと来訪者向けのネットワークのSSIDを分けてセキュリティーを確保しているケースもある。

 なんといっても有線ではなく無線なので、施設や設備にほとんど手を入れる必要がなく、レイアウトの変更にも柔軟に対応できる点も魅力だ。娯楽施設や店舗は、客の動向に合わせて、内装やレイアウトをこまめに見直さなくてはならない。レイアウト変更のたびに大がかりな工事を伴うようでは時間もコストもかかってしまう。そうした際にもネットワーク関連の変更コストはほとんど発生しない。導入に関わる大きな設備投資も必要ない。多くの店舗や施設を持った企業でも、短期間で比較的スムーズにWi-Fiを導入できる。

 多店舗展開している企業でも、システム担当部署や人員が充実していないケースもあるだろう。そうした企業は、スマート光ビジネスWi-Fiを導入する際に、オフィス安心パックを契約して、保守運用をアウトソーシングすることも可能だ。

 今の時代にあって、インターネットに接続できる環境を提供することは、退屈な時間を楽しい時間に変える最も有効な手段といっても過言ではない。退屈な待ち時間を楽しい時間に。それが来客増や満足度のアップに結び付く。しかも、提供する側には大きな負担にならない。顧客満足度向上の隠れた打ち手としてWi-Fiの導入を検討してはいかがだろうか。

連載記事≪Wi-Fiのビジネス活用術≫

執筆=高橋 秀典

執筆=高橋 秀典

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