一足お先に!IT活用でパワーアップ(第22回)

世界遺産高野山の宿坊に広がるWi-Fiサービス

2017.08.09

クリップについて

 外国人観光客の増加が続いている。2016年の訪日客数は2400万人超と過去最高を記録し、今年に入っても前年同月よりプラスとなった。全国の観光地は世界各地の人々でにぎわう。これを持続するには、外国人観光客に対する「おもてなし」をいかに充実させていくかだ。世界遺産として知られる和歌山県・高野山の宿坊「赤松院」では、宿泊客へのサービスとして無料Wi-Fiを提供してきた。宿泊客増加に伴って、設備の見直しを行い、より便利に使える仕組みを整えた。

<宿坊 赤松院>

高野山金剛峰寺境内に建つ宿坊寺院。平安時代中期の創立以来、多くの参詣者を迎え入れている。開祖・弘法大師の廟(びょう)所である「奥之院」近くに位置し、赤松氏、細川氏など大名家の菩提所としても知られる。広大な敷地には趣のある庭園、茶室を備え、外国人の宿泊客も多い。客室すべてで無料Wi-Fiが利用可能。

全宿泊客が同時接続できるサービスをめざす

 和歌山県北部に位置する高野山は、平安時代の弘仁7年(816年)、空海(弘法大師)によって開かれた真言密教の聖地だ。2004年には「紀伊山地の霊場と参詣道」の1つとして世界遺産に登録され、わが国を代表する史跡として知られる。

 山上一帯に広がる境内には真言宗総本山である金剛峰寺をはじめ、100を超える寺院がある。そのうち52の寺院が、参詣者への宿を提供する「宿坊」だ。その1つである「赤松院」は客室60、収容人員200人と最大級の規模を誇る。役僧を務める高瀬氏は、宿坊の現況について次のように話す。

赤松院外観

 「高野山を訪れる外国人観光客は年々増加しています。それにつれて宿坊に泊まられる方も増えて、最近では宿泊客の7割近くを外国の方が占めるようになりました」

 宿坊は一般的なホテル・旅館に比べて、よりダイレクトに日本を感じられる施設として外国人に人気だ。外国人観光客の増加が続く中で、高瀬氏は宿の運営を行う事務所周辺で、夜になるとたびたび不思議な光景を見るようになった。

赤松院役僧 高瀬氏

 「スマートフォンを持った外国人のお客さまが、何人も事務所の周りに座って通話しているのです。雨や雪が降る日も同じでした」。赤松院では2012年、まず事務用としてWi-Fiを導入。3年後には宿泊客向けサービスとして館内に複数のアクセスポイントを設置した。こうした外国人宿泊者の行動は、「Wi-Fiがつながらないから」だった。

 館内のルーターは同時接続できる端末台数に限りがある。そのため、利用が集中する夜間には接続できなかったり、通信が途切れたりする状況が発生していた。そこで、事務所のルーターに接続しようと考えた宿泊客が集まったというわけだ。このような状況を改善してサービス向上を図るため、Wi-Fi環境の全面的な見直しに着手した。

ビジネス仕様のWi-Fiで宿泊客のニーズに応える… 続きを読む

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連載記事≪一足お先に!IT活用でパワーアップ≫

執筆=林 達哉

執筆=林 達哉

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