実例で学ぶ!ドラッカーで苦境を跳ね返せ(第4回)予期せぬ成功編 小ヒットの深掘りで赤字脱却

経営全般 増収施策

公開日:2016.01.05

  • PDF PDF
  • ボタンをクリックすることで、Myクリップ一覧ページに追加・削除できます。追加した記事は、「Myクリップ」メニューからいつでも読むことができます。なお、ご利用にはBiz Clipに会員登録(無料)してログインする必要があります。

 問題事業を「廃棄」するだけでは将来の展望は開けない。成長するためには新しい事業に挑む必要がある。そんな事業の芽をどのように見つけたらいいのか。ドラッカーのマネジメントに学ぼう。

ドラッカーに学んだ先輩企業(3)「日興電機製作所」(後編)

●ドラッカーの言葉
「『分析できるほどはまだわからない。しかし、必ず見つけ出す。外に出かけ、観察し、質問し、聞いてくる』といわなければならない。予期せぬものは、通念や自信を打ち砕いてくれるからこそイノベーションの宝庫となる」

(『イノベーションと企業家精神』)

〈解説〉「予期せぬ成功」に着目すれば、イノベーションが起こせる可能性が高い。小さくとも「成功」という結果がすでに出ているから、強い足掛かりになる。しかし、多くの人は「予期せぬ成功」に気づかない。予期せぬものは意識の外側にあるからだ。だから意識して探索する必要がある。見つけたら分析する。分析のスタートは顧客からだ。「予期せぬ成功」の理由に答えを持つのは唯一、顧客である。

 3代目経営者は苦闘していた。通信設備を製造する日興電機製作所(埼玉県桶川市)は、光通信への移行に乗り遅れた。2004年に和光良一社長が後を継いだとき、業績は右肩下がりだった。

 転機となったのは事業の「廃棄」。最大の得意先に納めていた赤字製品の製造を中止。15年続けた新製品の開発プロジェクトをやめた(詳細は第3回)。代わりに、自社の強みが生きる新分野の開拓を狙った。ドラッカーは「自らの強みは、自らの成果で分かる(『プロフェッショナルの条件』)と言う。和光社長は自社製品の売り上げと採算を見直した。

 利益が出ていて、売り上げが右肩上がりの製品が一つだけあった。それが、ナンバーディスプレーアダプターだった。電話機の液晶画面に、電話をかけてきた相手の電話番号を表示するナンバーディスプレー機能は、今ではほとんどの機種にある。だが、このサービスが始まった1998年頃には、対応していない電話機が多かった。

 そこで旧式の電話機でもサービスが受けられるように、電話機に接続して使う液晶画面付きのナンバーディスプレーアダプターを各社が発売した。だが、新型の電話機への移行が進んだ2000年代前半には、その多くが製造停止になっていた。

敗戦処理から意外な成長…

続きを読むにはログインが必要です

\ かんたん入力で登録完了 /

会員登録3つのメリット!!

  • 最新記事をメールでお知らせ!
  • すべての記事を最後まで読める!
  • ビジネステンプレートを無料ダウンロード!

佐藤 等佐藤等公認会計士事務所

佐藤等公認会計士事務所所長、公認会計士・税理士、ドラッカー学会理事。1961年函館生まれ。主催するナレッジプラザの研究会としてドラッカーの「読書会」を北海道と東京で開催中。著作に『実践するドラッカー[事業編]』(ダイヤモンド社)をはじめとする実践するドラッカーシリーズがある。

【T】

「経営全般」人気記事ランキング

連載バックナンバー

実例で学ぶ!ドラッカーで苦境を跳ね返せ

オンラインセミナー動画

人気
  • 新着記事

配信期間

配信期間:2023年9月15日(金)~2024年8月30日(金)

セキュリティ関連

【経済産業省サイバーセキュリティ課登壇】 サイバー攻撃に対して中小企業が取るべき対策とは