読書でビジネス力をアップする(第62回)

数字が分かればビジネスの本質が見えてくる

2020.07.02

クリップについて

商談・会議・雑談でなぜか一目置かれる人が知っている「数字」のコツ
山本峻平 著
あさ出版

 仕事に生かす「数字」の本です。商談、会議、雑談など、日々の仕事に出てくる数字を正しく把握し、的確に扱うコツと法則を学ぶことができます。

 著者は、数字が大の苦手だったにもかかわらず、コンサルタントとして人事制度の構築や教育研修、企業の経営支援に関わる中で数字に触れ、コツや法則を習得したそうです。

 本書が教えるのは、著者が自身の経験の中で身に付けた「数字をざっくり捉えるコツ」です。ざっくりですが、大いに力を発揮することが体感できるはずです。社会人なら知っておきたい基本です。

 ビジネスは数字の世界です。しかし、勘所を知らなければ、数字と要領よく付き合うことはできません。数字の理解はざっくりし過ぎても、細か過ぎてもいけません。あんばいが難しいのが、数字なのです。ただし、勘所さえ分かれば、強力な武器になります。本書を読めば、仕事はもちろん、ニュースや新聞で触れる数字の捉え方や活用する方法が飛躍的に向上するはずです。

 本書では、まず覚えるべき数字を学びます。次いで、キーにすべき数字やつながりを知ります。最後に、マーケティングや人事、会議など、ビジネスの分野ごとに数字の法則を学びます。

 数字が分かれば、ビジネスの本質が見えてきます。また、思考が論理的になり、正しい判断が素早くできるようになります。さらに、話に説得力が増し、周囲の評価が上がるはずです。話が抽象的、主観的だといわれる人、反対に細かい数字にこだわるあまり大局を見ることが苦手な人など、普段の仕事で数字を使いこなせていない人、もっとうまく使いたい人にオススメします。

数字を使いこなせる人は主観的には語らない

 数字は大事です。できる人は、例外なく数字に強い人です。実際、プレゼンなどで数字を上手に使っている人を見ると「できる人」「頭がいい人」と感じるはずです。

 彼らは、細かい数字にこだわっているわけではありません。あくまでも、大枠を客観的に表現する道具として、的確に使えているだけです。

 反対に「数字が苦手」という人もいます。そういう人は、思考が主観的になり、表現も抽象的になりがちです。物事を感覚で決めたり、話が伝わりにくくなったりしがちです。

 かくいう私がそうでした。社会人になっても数字を避けたいと思っていました。少しでも数字が出ると思考停止をしていました。そして「自分は文系だから」などと言い訳をしていました。苦手な理由は、単に慣れていないからなのですが、避けているうちに、思考はどんどん主観的、感覚的になっていきます。やがてビジネスの世界では使い物にならなくなる恐れがあります。

 私は、コンサルタントをめざしたことが転機になりました。著者も言っていますが、コンサルタントの世界は論理の世界です。数字抜きには始まりません。中でも、コンサルタントでは会計の理解が必須です。その習得に苦労しました。しかし、学んで正解でした。会計が理解できて初めて、ビジネスの本質が見えてきた気がします。

 会計は、ビジネスを数字で表現する「言語」です。言語というと、ビジネスパーソンは英語を学びがちですが、私は会計こそ、最初に学ぶべき言語だと思います。もちろん、本書では、会計の理解までは求めていません。もっと、ざっくりした数字の解説にとどまっています。それだけでも、ビジネスの見え方は大きく変わるはずです。

 ただ、できれば会計など、より詳しい数字に興味を持ってほしいと思います。本書は、そのきっかけにもなるはずです。もちろん、本書だけでも十分効果はありますので、読んでみてほしいと思います。

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執筆=藤井 孝一

執筆=藤井 孝一ビジネス選書WEB

ビジネス書評家、読者数5万人を超える日本最大の書評メールマガジン『ビジネス選書&サマリー』の発行人。年間1000冊以上の書籍に目を通し、300冊以上の書籍を読破する。有名メディアの書評を引き受けるほか、雑誌のビジネス書特集でも、専門家としてコメント。著書は『読書は「アウトプット」が99%』(知的生きかた文庫)のほか、『週末起業』など、累計50冊超、うちいくつかは中国、台湾、韓国でも発刊されている。

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