読書でビジネス力をアップする(第63回)

バックギャモン世界チャンプに学ぶ「運」のつかみ方

2020.08.06

クリップについて

運を加速させる習慣
矢澤亜希子 著
日本実業出版社

 「運の創り方」です。スポーツやビジネスなど、すべての分野において、才能や努力ではどうにもならない「運」という要素に左右されることがあるものです。

 かといって、運を天に任せて、偶然に身を委ねているだけでは、道は開けません。運という不確定な要素の存在を認めた上で、それを味方に付ける工夫が必要なのです。その方法が書いてあります。著者は、日本人初、女性初のバックギャモン2度目の世界チャンピオンです。そんな著者が「運は自分で創るもの」という信念の下、自らの経験を通して得た「勝負の本質」を教えてくれます。

 タイトルを見た時、最初は「こうすれば運が良くなる」的なスピリチュアルな内容をイメージしてしまいました。しかし、読んでみるとまったく違いました。

 真剣勝負の世界で生きてきた著者が、自ら経験し、培ったことを踏まえ、読者が日常生活で役立てられそうなエッセンスを抽出し、まとめています。

 例えば、「感情的判断は間違える」「短所は伸びしろ」「疑うことが学び」「欲こそがモチベーション」などです。これらの言葉が、運を呼ぶ思考や習慣として紹介されます。

 読めば、誰もが勇気をもらえる言葉に出会えるはずです。そして、運を引きつけ、利用することができるようになるはずです。結果的に、成功を手にすることができるようになるはずです。

 スポーツやビジネスの勝負勘を鍛えたい人はもちろん「自分はいまいちツイていない」と思う人、「もっと運を良くしたい」と考える人などにおすすめします。

 「運」の存在は、認めにくいものです。誰しも「努力は報われる」と思いたいものです。だからこそ、つらい努力もできますし、頑張った人を応援したくもなるからです。

 でも、現実には、運に大きく左右されることがいろいろあります。スポーツでも、ビジネスでも、最後は「持っている」かどうかで決まってしまうように思えるくらいです。

 かといって「努力してもムダ」というわけではありません。「運」の存在を認めた上で、その運を味方に付けられるように、努力しなければダメなのです。

 では、具体的にどんな努力をすれば、運を味方にできるのか。例えば著者は、「先々の展開を想定して、できるだけ自分が有利になるように可能性を広げておくこと」が大事だといいます。

不運(思考停止)をチャンスにするための習慣

 どう考えても「ツイてない」と思わずにはいられないことは、誰にでもあるはずです。会社経営などをしていても、何年かに一度は「不運」としか言いようのないことに見舞われます。そういうときは、つい「運に見放された」と思いがちです。でも、それで終わっても進歩できません。著者は、それを「思考停止」といいます。思考停止する暇があるなら、原因を探って修正すべきです。

 それ以上に大事なことは、日ごろから備えておくことです。不運を乗り切れるかどうかは備えで決まるのです。さらに、それがチャンスをつかむ秘訣でもあります。

 確かに、運が巡ってきたとき、それを生かせる実力がなければモノにはできません。大きな仕事も、こなせる実力がなければ断るしかないからです。備えているから、チャンスを手にできるのです。

 こんな風に、運に見放されず、運をつかみ、使いこなす秘訣がわかります。本書の内容を習慣にすることで、運を創り出し、人生を切り開くことができるようになると思います。

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執筆=藤井 孝一

執筆=藤井 孝一ビジネス選書WEB

ビジネス書評家、読者数5万人を超える日本最大の書評メールマガジン『ビジネス選書&サマリー』の発行人。年間1000冊以上の書籍に目を通し、300冊以上の書籍を読破する。有名メディアの書評を引き受けるほか、雑誌のビジネス書特集でも、専門家としてコメント。著書は『読書は「アウトプット」が99%』(知的生きかた文庫)のほか、『週末起業』など、累計50冊超、うちいくつかは中国、台湾、韓国でも発刊されている。

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