中小企業のトレンド(第1回)

アベノミクスが与えた中小活性化・地方創生効果は?

2015.07.01

クリップについて

 2014年度補正予算の成立に続き、15年度の本予算案と税制改正法案がまとまった。アベノミクス第2弾の施策は、景気回復の効果を中小企業や地方へ波及させる役割を担う。新設された補助金や減税などその中身と、中小企業関係者の受け止め方をまとめた。

 昨年12月、総選挙で大勝して再び政権についた安倍晋三首相は、直ちに「地方への好循環拡大に向けた緊急経済対策」をとりまとめた。それを実行するために編成されたのが、3兆5000億円規模の2014年度の補正予算。うち3013億円が、中小企業や小規模事業者向けの事業の分だ。

 続いて編成された15年度の本予算案のうち、中小企業対策予算は1856億円。金額自体は、14年度の本予算額とほぼ同じだ。

 12年12月の政権発足から実行してきたアベノミクス第1弾については、「恩恵を被ったのは株価が上がった大企業だけ」「オリンピックに沸く東京などはいいが、地方には政策の効果は届いていない」など批判の声も聞かれた。「中小企業は『アベノミクス不況』のさなか」と酷評する経営者団体もあったほどだ。

 そこで安倍内閣は、中小企業や地方に効果をもたらすべく、アベノミクス第2弾を打ち出した。補正と本予算は、一体として編成されており、補正に盛り込まれた事業に本予算でもお金がついている例が目立つ。

 円安による原材料・エネルギーのコスト高に対する支援や地域経済再生(ローカル・アベノミクス)が柱だが、中小企業や小規模事業者の新しい取り組みを支援するための補助金なども盛り込まれている。安倍政権は、15年度税制改正法案も加えた政策パッケージで、アベノミクスの効果の拡大を図る方針だ。

業態転換による第二創業も補助対象

 アベノミクス第2弾に対し、経営者からは評価する声が上がっている。「中小企業の新たな挑戦を後押しする上で、有益な施策が盛り込まれたと思う。現場の実感に近い政策が打ち出されるようになってきている」と、東京商工会議所副会頭で三和電気工業社長の石井卓爾氏は指摘する。

 中小企業家同友会全国協議会で政策委員長を務める石渡裕氏(総合環境分析社長)も「補正のうち約5700億円は中小企業向けだとはっきり分かる。金額的にも一定の評価はできる」と話す。石井氏が言うように、例えば中小企業や小規模事業者が、新しい商品・サービスの開発、業務プロセスの改善といった事業革新に取り組む際の費用の3分の2を補助する「ものづくり・商業・サービス革新補助金」は、補正で1020億円と多額の予算がついた。

 また補正では、「創業・第二創業補助金」が新設。50億円が計上されたほか、本予算にも8億円が盛り込まれている。事業承継に伴い、既存事業を廃業して業態転換する第二創業の場合も対象になるのが特徴で、補助率はいずれも要した費用の3分の2。創業の場合は上限が200万円なのに対し、第二創業の場合は1000万円まで補助が受けられる。

 原材料やエネルギーコスト高に対しては、「資金繰り・事業再生支援事業」として、補正で1380億円が投じられた。中身は、日本政策金融金庫などの政府系金融機関から運転資金を借りる場合の金利の引き下げ、信用保証協会や中小企業再生支援協議会による支援体制の強化などだ。

 並行して、省エネ化や再生可能エネルギーへの転換に多額の予算がついている点も注目だ。中小企業などが省エネルギー設備を導入した場合の補助金として、補正で930億円が盛り込まれた。最新モデルの省エネ機器・設備導入費用の半額の補助が受けられる。工場やオフィス、店舗などの省エネに役立つ設備の更新や改修も対象になる。

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