中小企業のトレンド(第10回)大混乱をもたらす消費税の軽減税率と適格請求書

法・制度対応

公開日:2016.03.22

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 政府・与党は、昨年末の税制改正で、飲食料品などに8%の軽減税率を導入する方針を決定。併せて、一定書式の請求書の保存を企業などに義務付けることを税制改正大綱に明記した。小売業を中心に、事務の手間やコスト、売り場の混乱などに対する不満の声は大きい。

 日本の消費税は、企業(個人事業主を含む)などが売り上げ時に受け取った税金から、仕入れの際に支払った税金を差し引いて差額を収める仕組み。制度の変更は消費者以上に企業に影響を与える。

 2016年度の税制改正に盛り込まれた軽減税率の概要は図1の通り。17年4月の税率10%への引き上げ時に、飲食料品や新聞などを8%に据え置く形で実施され、酒類と外食サービスは対象外とされることになっている。

 ところが、「外食」の定義が混乱を招いている。具体的には、「飲食設備」のある場所で「食事を提供」するとされており、喫茶店やレストランがこれに該当し、ピザの宅配やコンビニ弁当の持ち帰りが該当しないのはいうまでもない。

 では、コンビニの「イートインコーナー」はどうか。弁当のような持ち帰りできる状態の飲食料品を買ってそこで食べる場合は外食に当たらず、8%の税率の適用に。しかし、店員がトレーに載せて席まで運ぶ、食べた後食器を返却する──といった場合は外食となり、税率10%が適用される。

 このようにややこしい例は、枚挙にいとまがない。全国商店街振興組合連合会理事長で、名古屋市内で生花店を営む坪井明治氏は、「軽減税率に関する質問は多い。当社でも、観賞用のパセリなどは、飲食料品かどうか判断に迷う」と話す。

 こうした“線引き”の問題は、法律や通達でいくら細かく決めても完全には解消できないだろう。スタート後も、現場に混乱をもたらしそうだ。

2021年度からの「適格請求書」でダブルパンチ…

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