中小企業のトレンド(第20回)

「倒産抑制時代」には与信管理に新しい視点が必要

2017.02.16

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 企業倒産件数は、バブル期に匹敵する低水準が続いている。業績や景況感と関係なく、政策的に倒産が抑え込まれているからだ。その結果、経営破綻の性質が変化している。思わぬ被害を受けないよう、目を配りたい。

 企業倒産件数は歴史的な低水準が続いている。

 東京商工リサーチによれば、2014年と15年の倒産件数(負債額1000万円以上)は、2年連続で1万件を割った。バブル期の1989年、90年以来の“快挙”だ。2016年も1~9月までの累計の倒産件数は前年同期比でマイナス。9月単月では650件となり、同月としては90年以来の低水準にとどまった。

 ただし「足元の企業業績は良くない。特に、個人消費の低迷にさらされている小売業やサービス業と、円高の余波を受けている製造業の不振が目立つ」と、東京商工リサーチの友田信男常務は指摘する。

 にもかかわらず、倒産が少ないのは、政策的な抑え込みが効いているためだ。

 倒産件数の減少が始まったのは、2009年12月、中小企業金融円滑化法が施行されてからだ(下記のグラフ参照)。この法律で、金融機関は、中小企業に対する貸し付け条件の変更などに応じることを迫られた。 ただし、この円滑化法は13年3月に適用期限が終了した。これを機に倒産が増加に転じるとの見方もあったが、実際には、さらに減った。なぜなら、期限切れ直前に、金融庁などの省庁が、金融機関に貸付先の倒産件数を報告させるなどの金融モニタリング体制を構築したからだ。

 16年6月に金融庁が発表した資料によれば、円滑化法が終了した13年4月以降も、中小企業向けの貸し付け条件変更などは着実に実施されている。例えば、15年10月から16年3月までの実行件数は48万6608件。申し込みに対する実行率は97.3%という高水準にある。

 それと同時に金融機関は、法的整理に直結するような債権保全などのアクションを控えるようになり、代わりに私的整理による事業再生の道を探り始めている。

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