トップインタビュー(第15回)

中小企業こそ「ダントツ」磨こう

2016.06.07

クリップについて

コマツ相談役 坂根正弘氏

 「スマートコンストラクション」事業を推進し、オールドエコノミーとニューエコノミーの融合に挑むコマツ。IoTで「ダントツ」を極め、「コマツでないと困る」度合いを高めることで選ばれ続ける存在に。新たなビジネスモデルの“肝”であるパートナー(協力企業)との連携もさらなる深化をめざす。

──いよいよ2016年がスタートしました。坂根さんは今年をどのように展望していますか。

坂根:マクロな視点で言うと、今年2016年を含めて向こう3年ぐらい「日米欧時代」になると見ています。日本経済も良くなるでしょう。20年の東京五輪・パラリンピック辺りまでは良い状態が続くかもしれない。08年のリーマン・ショックの後は、日米欧の状態が悪すぎました。中国1国が良く、それに引っ張られて資源国など新興国経済も良くなりました。今はその反動が来ています。

 ただ大きなトレンドとしては「新興国時代」に進んでいます。3年前から下落傾向の中国経済もポテンシャルを考えれば再び拡大する余地があります。世界のマネーは先進国と新興国の間を行ったり来たりしますから、日米欧時代の後にはまた新興国時代がやって来るでしょう。

 五輪後の日本は厳しいかもしれません。大きなイベントが終わって需要が減る上に新興国へ向かう波が来ますから。ダブルパンチです。それまでの3~4年が勝負となります。アジア戦略を強化し、かつ構造改革を推し進めて体質を強化しておかないと。

建機とICTを融合

──コマツは現在、IoT(インターネット・オブ・シングズ、モノのインターネット化)を活用した「スマートコンストラクション」事業を強力に推進しています。この取り組みも次世代をにらんだ改革の一環ですか。

坂根:その通りです。コマツはブルドーザーや油圧ショベルなど建設機械を製造するオールドエコノミーの代表的企業ですが、ニューエコノミーを取り入れ、融合することで新しいビジネスモデルをつくり上げつつあります。ものづくりやメーカーが進むべき方向性を示す取り組みだと自負しています。

 建設現場に関わるもの全てをICT(情報通信技術)でつなぎ安全で生産性の高い現場を創造しようというのがスマートコンストラクションのコンセプト。例えば、ドローンや建機に搭載したカメラなどを活用し、短時間で現況を測量し、現在の地形の精緻な3次元データを作成する。施工完成図面と3次元データを重ね、ある地点の土壌を何センチ削れば良いかといった情報を建機に配信する。ICTを搭載したブルドーザーや油圧ショベルを制御しながらその通りに仕上げるというものです。

 建設業者は作業負担を大幅に削減できます。ICT建機の導入現場数は、既に全国1000カ所を超えています。

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坂根 正弘(さかね・まさひろ)

坂根 正弘(さかね・まさひろ)

1941年生まれ。島根県出身。63年大阪市立大学工学部卒業、コマツ入社。89年取締役、90年小松ドレッサーカンパニー(現コマツアメリカ)社長、94年常務、97年専務、99年副社長を経て2001年社長就任。就任直後、創業以来初の赤字に直面。構造改革を断行し、翌期にはV字回復を遂げる。07年会長、13年より現職。経団連副会長、産業競争力会議議員、経済産業省総合資源エネルギー調査会会長などを歴任。著書に『ダントツ経営』『ダントツの強みを磨け』(日本経済新聞社)、『「経営」が見える魔法のメガネ』(日経BP社)など

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