トップインタビュー(第24回)

経営者不在でも動く社員を育てる

2017.03.01

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森トラスト社長 伊達美和子 氏

 2016年6月、父である森章氏から事業を承継し、森トラストの3代目社長となった。不動産業界大手では珍しい女性経営者は、5年後、10年後を見据えて指揮を執る。トップダウンからボトムアップへと社員の意識改革に乗り出した。(聞き手は、日経トップリーダー前編集長 伊藤暢人)

──伊達さんは2011年に森トラスト・ホテルズ&リゾーツの社長に就任後、マリオット・インターナショナルや、スターウッドホテル&リゾートの最高級ホテルブランドなど、数々の外資系のホテルを誘致してこられました。2016年6月には、父・森章氏の跡を継ぎ、森トラスト全体のトップとして、不動産や投資事業も手掛けています。オーナー経営者として、どんなリーダーシップをめざしますか。

(写真/小野さやか)

(写真/小野さやか)

伊達:トップやリーダーというと、単に引っ張っていくイメージをされる方も多いと思います。私自身、それはむしろ一番簡単な方法なのではないかと思っているんです。社長がAと言えば、社員はAをすればいい。こうした経営は短期的には効果が上がるのですが、一方で、トップ1人の判断に頼らざるを得ないため、リスクが高く、生産性が下がるケースもある。

 それに対し、組織がどうあるべきかを意識しながら、それぞれの現場が意思決定できる環境をつくっていくと、ビジネスチャンスも増え、生産性も高くなります。

 つまり、究極的には、経営者がいなくても回る環境をどうつくり、増やしていくかだと思っています。過去5年間ほど、ホテル・リゾート事業のトップとしてこれに取り組みました。結果、70%の時間を割いていたところを10%で勝手に進化してくれるようになりました。

 今度は全社にも同じ環境を定着させたい。そこで、森トラストらしいクオリティーやバリューを社員一丸となってつくり上げ、実行するのがテーマです。

 5年先、10年先までの事業計画はできています。この環境が整備されれば、社員がそれに沿い会社を伸ばしてくれるので、私はもっと先のことに時間を使えます。

 もちろんどこかでトップが判断しなければならないし、場合によっては、スピード感が必要です。時には、やはりファミリービジネスだからこそできるような決定をする瞬間もあるでしょう。

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伊達 美和子(だて・みわこ)

伊達 美和子(だて・みわこ)

1971年東京都生まれ。聖心女子大学文学部卒業後、慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科修了。96年長銀総合研究所(当時)を経て98年森トラスト入社。2003年常務、08年専務。11年森観光トラスト(現・トラストホテルズ&リゾーツ)社長に就任。スターウッドホテル&リゾートの「翠嵐(すいらん) ラグジュアリーコレクションホテル 京都」やマリオット・インターナショナルの最高級ホテルブランド「JWマリオットホテル奈良」などを誘致。父は森トラスト会長の森章氏。

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