トップインタビュー(第40回)

松岡修造語る「感情の言語化で伝える力が身に付く」

2018.07.09

クリップについて

日本テニス協会理事 強化本部副本部長 松岡修造氏

2018年2月、平昌五輪の日本代表選手団の帰国報告会が行われた。MCは、平昌五輪日本代表選手団の応援団長を務め、日本テニス協会理事兼強化本部副本部長でスポーツキャスターとしても活躍する松岡修造氏。松岡氏の熱い口調に乗って、口下手で知られる選手たちが次々に自身の思いを語っていく。松岡氏はなぜ人の思いを引き出せるのか。テニスのジュニア育成プロジェクトでも、若手選手のやる気を起こさせる指導に力を入れる松岡氏に、コミュニケーション力や仕事への思いについて話を聞いた。

――松岡さんが選手を応援したり、激励したりするときの言葉はとても説得力があります。思わず、こちらも応援しようという気持ちになります。

 よく、話をするのが上手だと言われますが、僕自身は話が得意だと思ったことはありません。高校時代は話下手だったと思いますよ。若い頃は「コミュニケーション力ゼロ」と言われたこともあります(笑) 

一番聞きたいことを決めておく

――テニスの錦織圭選手をはじめ、最近のスポーツ選手は上手に話をする人が増えたと感じます。

 昔は、スポーツ選手のイメージは、どちらかというと無口だったのではないでしょうか。今のスポーツ選手は、感覚的にプレーするだけでなく、それを言語化して自分なりに説明する力が求められるようになりました。言葉にすれば、自分の次の目標が立てやすくなります。プレーに限らず、感情のコントロールが必要ですから、自分の感情の言語化も大切になります。僕はそれを「自分の心の声を聞く力」と呼んでいます。

――「心の声」を引き出すために、松岡さんなりにインタビューの際に心を砕いていることはありますか。

 最初に、インタビューのテーマ、つまり一番聞きたいことは何かを想定しておきます。インタビューのときは、すぐにテーマの核心に踏み込んでよいのか、それとも悪いのかを見極めるようにしています。選手の心情は競技に臨む前や後で違ってきますし、結果によって揺れ動く場合もある。ですから、「今の気持ちはどうですか?」といったようなストレートな質問は、すぐに投げかけません。こうした見極めは、自分が選手として経験してきたから分かるのかもしれません。

――松岡さんは言葉だけでなく、顔の表情や、身ぶり手ぶりも使いますね。

 僕の役割は、例えば選手が「自分のプレーが良かった」と言ったら、どこが良かったのか、なぜ良かったのかを聞き出して、整理してあげることだと思います。

 こちらからは、選手に誘い水となるような話をたくさんしています。例えば、僕はこんなときにこういうふうに思ったことがあるとか、自分はこうしてきたとか。でも放映時間は限られています。僕の話はできるだけカットしてくださいとお願いしています。ただ、僕のリアクションは、選手の気持ちを伝えるために大事なのかなと思っています。すごい!とか、びっくり!といった感想を表情や身ぶり手ぶりで表現して、選手の話が視聴者にインパクトを持って伝わるようにしています。

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松岡 修造 (まつおか・しゅうぞう)

松岡 修造 (まつおか・しゅうぞう)

1967年東京都生まれ。10歳から本格的にテニスを初める。86年プロに転向後は、ウィンブルドンで日本男子としては62年ぶりにベスト8に。現在は、「修造チャレンジ」などのジュニアの育成・強化に取り組み、近年、日本のテニスが強くなる礎を築いた。スポーツキャスターとしても活躍するほか、『伝わる!修造トーク』『弱さをさらけだす勇気』など著書多数。

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