Biz Clip調査レポート(第18回)

店舗運営企業のキャッシュレス決済対応状況

2020.03.16

クリップについて

 消費税率アップの景気対策などの追い風もあり、キャッシュレス決済が急速に普及しつつある。現時点で、小売業やサービス業など、顧客と直接取引している企業(医療や交通を含む)が、どの程度キャッシュレス決済に対応しているか実態調査を行った。また、導入する際のポイントについて尋ねた。調査は、日経BPコンサルティングのアンケートシステムにて、同社保有の調査モニター3972人を対象に実施した。

QRコードや電子マネーは2割が対応

 勤務先のキャッシュレス決済への対応状況を聞いたところ、決済手段によってかなりの違いが見られた。最近、話題のQRコード決済(PayPay、LINE Payなど)に、すでに対応済みなのは約20%。しばらく前から普及しつつあった電子マネー(Suica、ICOCA、楽天Edyなど)への対応も同レベルの約20%だった。「今後対応が決まっている」を合計しても20%代前半にとどまった。一方、クレジットカードに対応している比率は、約50%になった(図1-1)。

 ただ、「今後、対応を検討中」という回答の比率が最も高かったのは、QRコード決済で11.9%。それに電子マネーの8.8%が続いた。クレジットカードは5.5%で最も低かった。今後はQRコード決済への対応が、一気に進む可能性が予想される。

【図1-1 キャッシュレス決済への対応状況】

 キャッシュレス決済の対応状況は、従業員規模が大きいほど進む傾向だが、決済手段によって多少の違いがある。

 まず、QRコード決済への対応は、現状では従業員1万人以上が最も進む。ただ、5000~9999人の企業では、「検討中」の回答が30%以上と最も多い。近い将来、5000人以上の規模までは、かなり対応が進みそうだ。300~499人まではあまり傾向が変わらず、299人以下になると「対応している」は10%台、「対応予定なし」が70%以上になり、今後も対応しない可能性が大きいと読み取れる(図1-2)。電子マネーへの対応についても、QRコード決済とほぼ同じ傾向が見られた(図1-3)。

【図1-2 QRコード決済への対応状況】(従業員規模別)

【図1-3 電子マネーへの対応状況】(従業員規模別)

クレジットカード対応は5割

 それに対し、クレジットカードへの対応状況は大きく異なる。100人以上の企業で、対応状況が50%を超えた。99人以下の企業では30%以下となった(図1-4)。今回の調査結果では、「今後対応を検討中」という回答の比率を考慮しても、QRコード決済や電子マネーへの対応は、クレジットカードにはしばらく及ばない可能性が読み取れる。

【図1-4 クレジットカードへの対応状況】(従業員規模別)

導入した企業は、業務効率化に関する満足度が高い

 すでにキャッシュレス決済を導入している企業に対しては、その満足度を効果の項目別に尋ねた。すべての項目について「どちらともいえない」が一番多く、いずれも50%を超える。現時点の評価は難しいのがうかがえるものの、おおむね「満足」「まあ満足」のほうが、「不満」「やや不満」よりも多くなった。

 ただ、業務効率化に関する項目については、満足度が高い。一番満足度が高かったのは「客とのやり取り(迅速化)」、2番目が「売上管理の効率化」となった。キャッシュレス決済の導入により、接客の現場とバックヤード業務の両面で、効率化を実感できた企業が少なくないのが分かる(図2)。個別回答では「医療機関だが意外に利用者が多い」「若い人の来店向上」(満足点)、「返金がしにくい」「トラブル時の対応」(不満足点)などの意見が上がった。

【図2 キャッシュレス決済の満足度】

 最後にキャッシュレス決済事業者を選定する上でのポイントを聞いてみた。全体集計で最も多かったのは「導入・運用コストの低さ」。2番目が「セキュリティがしっかりしている」だった。従業員規模別に見ると、傾向が異なる(図3)。

 「導入・運用コストの低さ」を選んだのは、従業規模の比較的小さな会社。従業員5000人を超える企業では、その比率はかなり少なくなる。さらに、規模の小さい企業はコストだけでなく、「決済方法、操作の簡易さ」や「機器設置などの導入の手軽さ」を選定ポイントに挙げた比率が非常に高い。

 一方、「セキュリティがしっかりしている」を選んだ比率は、従業員規模が大きくなるほど、増える傾向が明確に出た。まずは、コストをかけず、手軽に、操作の簡単な決済を導入したいという中小の現実的なニーズと、その先のセキュリティにまで気を配る大手との違いが読み取れる。

【図3 キャッシュレス決済事業者の選定ポイント】(従業員規模別)

 その他にも個別意見として「QRコード決済は乱立し、今後どう淘汰されるか」を、選定の条件に挙げる意見も見られた。2020年に入り、QRコード決済、いわゆる“ペイ系”の業界再編が進んでいる。メルペイがOrigami Payを買収、先だってはPayPayとLINE Payの親会社が経営統合した。店舗をはじめとするキャッシュレス決済対応にも、影響を与えるのは言うまでもない。

<本調査について>
日経BPコンサルティングのアンケートシステムにて、同社モニター3972人を対象に2020年2月に調査

SID : 00014018

調査・執筆 = 日経BPコンサルティング

調査・執筆 = 日経BPコンサルティング

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