業務におけるペーパーレス化の必要が叫ばれる中、現在、企業ではどのように紙の文書が使われ、管理されているのか。2020年3月に実態調査を行った。また、ペーパーレス化の支援手段の1つであるOCR(光学的文字認識、画像データ内の文字情報をテキストデータ化する技術)がどの程度、活用されているかについても聞いた。調査は、日経BPコンサルティングのアンケートシステムにて、同社保有の調査モニター3613人を対象に実施した。
社外とのやり取りに紙の資料は必要
企業のさまざまな業務の中で、紙の文書が介在する業務工程について聞いた(図1)。回答で最も多かったのは「契約・申請書類」の66.5%で、2番目が「取引先・顧客への請求・見積もり」の57.9%だった。社外とやり取りをする文書に関しては、紙の使用が続いている傾向が読み取れる。
これに続く3番目は「社内会議資料」(54.8%)、4番目が「社外会議・プレゼン資料」といった会議関連の文書。会議では、資料を共有するために紙の使用が続いているのが現実のようだ。
一方、紙の文書が介在する比率が低かったのは「顧客情報・カルテ」(21.8%)や、「業務・案件の管理」(33.6%)となった。「顧客情報・カルテ」に関してはデータベース・ソフトがかなり普及していること、「業務・案件の管理」は業務管理システムによる運用などの影響が推測できる。
【図1 紙の文書が介在する業務工程(複数回答)】
次に、こうした業務工程で生まれた紙の書類をどのように管理しているか。その方法を業務工程別に尋ねた(図2)。結果は、どの業務工程に関しても「紙のままファイリングして保管」が圧倒的に多い。特に「契約・申請書類」「受発注書」「社内稟議・申請」に関しては、7割以上が紙のまま保管している。
一方、「紙のままファイリングして保管」の比率が比較的低いのは、「社外会議・プレゼン資料」(51.0%)と「社内会議資料」(56.6%)だ。この2つに関しては、「保管せず破棄」が、それぞれ15.3%、16.0%と他の業務工程よりもかなり高い。
次にデジタルデータに変換して保管する比率を見てみよう。「スキャン・撮影等して画像として保管」と「スキャンして文字データ変換でテキスト化して保管」を合わせた比率で一番低いのが、「顧客情報・カルテ」の13.9%だ。一番高かったのは「社外会議・プレゼン資料」の26.3%。「画像として保管」と「テキスト化して保管」を比較すると、すべての業務工程の書類で、画像保存のほうが比率は高かった。
【図2 業務工程別の紙文書の管理方法】
廃棄ルールは「期間を決めて」が一番多い… 続きを読む
調査・執筆 = 日経BPコンサルティング
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