人生を輝かせる山登りのススメ(第7回)

泉質別に楽しむ山の温泉

2016.01.25

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 ふかふかの新雪を踏みしめて、しんと静まった針葉樹の森を歩いたり、空気が澄んでどこまでも見渡せそうな景色を楽しんだり……。神々しさがあって、特別な登山が楽しめるのが雪のシーズン。そんな冬の山を1日楽しんだあと、冷えた体をほかほかの温泉で温めるときほど、幸せを感じる瞬間はありません。

 雪山で緊張していた気持ちと、ほどよく疲れた筋肉を緩め、心からリラックスできます。体を温められる上に汗も流せてスッキリ。登山と温泉はとっても相性がいいのです。下山後の温泉を楽しみに、山に登るという人もいるのではないでしょうか。

 今回はそんな、登山後に寄れる山麓の温泉を、泉質と効能(適応症)とともに紹介します。環境庁自然環境局は療養泉(温泉のうちでも特に治療の目的に供しうるもの)について、掲示用泉質として11種類に分類しています。その中で主な泉質と実際の山の温泉を見てみましょう。

単純温泉

 水1kg中に含まれる溶存物質量が1g未満、かつ泉温が25度以上の温泉をいいます。日本の温泉で最も多いのがこの単純温泉。刺激が少なく、湯あたりしづらいので、誰でも親しめるのが特徴です。

 雪山初心者でも気候の条件さえよければ登ることができる那須・茶臼岳。その山麓にあるのが、大きな天狗の面が掛けられた湯で有名な北温泉や、大丸温泉、弁天湯(栃木県)。これらは単純温泉で、長湯したくなるやさしいお湯です。このほか、妙高山山麓の妙高温泉(新潟県)、修験道の中心地である大峰の洞川温泉(奈良県)も単純温泉。由布岳の西側にある由布院温泉(大分県)は温泉成分により全国でも珍しい、美しい青色の温泉が楽しめます。

 木曽御岳温泉(御嶽山/長野県)、塩原温泉郷(那須岳/栃木県)などには、天然の保湿成分といわれるメタケイ酸を含む温泉があり、肌のキメがさらに細かくなりそう。美肌効果を得るならメタケイ酸を100mg/1kg以上含む温泉を選ぶといいでしょう。

 単純温泉のうち、pH8.5以上のものをアルカリ性単純温泉といいます。アルカリ性の温泉に入ると肌がぬるぬるするのが特徴。皮膚の古い角質層が取り除かれて、肌がきれいになるので「美人の湯」といわれています。尾瀬檜枝岐温泉(会津駒ヶ岳/福島県)、足尾温泉(庚申山/栃木県)、七沢温泉(丹沢/神奈川県)、箱根湯本温泉(箱根/神奈川県)などがあります。… 続きを読む

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執筆=小林 千穂

執筆=小林 千穂

山岳ライター・編集者。山好きの父の影響で、子どものころに山登りをはじめ、里山歩きから海外遠征まで幅広く登山を楽しむ。山小屋従業員、山岳写真家のアシスタントを経て、現在はフリーのライター・編集者として活動。『山と溪谷』『ワンダーフォーゲル』など登山専門誌に多数寄稿するほか、山番組にも出演。著者に『女子の山登り入門』(学研パブリッシング)などがある。2014年に南米のチンボラソ(6310m)に登頂。

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