人生を輝かせる山登りのススメ(第50回)

〈番外編peak2〉霧ヶ峰・車山で登山を楽しむ!

2019.07.19

クリップについて

 登山初心者のための番外編、先の〈peak1〉では東京都・高尾山に登りましたが、編集Kさんの登山後の様子は余裕たっぷり。それでは、と次の目標を長野県・車山に決めました。高尾山の標高が599mであるのに対して、車山の標高は1925m。一気に標高を上げたことに「いきなりハードルが高くないですか」と戸惑うKさん。きっと大丈夫だよ、となだめすかしていざ車山へ。諏訪湖の北東、霧ヶ峰高原の中心に位置する車山山頂からのパノラマビューは必見です。大絶景の高原ハイクをみなさんも一緒に体感してください。

素晴らしい展望の車山(山頂/前方に見えるのは八ヶ岳)

スタートから広がる大絶景

 車山を選んだ一番の理由は、登山コースからの景色がとにかく素晴らしいことです。山の上に草原が広がり、樹林が少ないので、遠くの山々まで見渡せます。そして、岩場などの危険箇所が少なく、歩けるコースが多いので、目的に合ったプランニングができるのです。

 さらには、湿原や古代の遺跡などもあり、見どころがたくさんあることも魅力です。前回(第48回/番外編peak1)は、登山の雰囲気を知ってもらうため、そしてKさんのやる気・体力を測るために高尾山を選びましたが、今回の目的は山の楽しさを体感してもらうこととしました。

 5月下旬、私たちは登山口となる車山肩(標高約1800m)に到着しました。ここから車山の山頂へ向かい、蝶々深山(ちょうちょうみやま)、八島ヶ原湿原(やしまがはらしつげん)近くを通って車山肩へ戻る周回コースを歩きます。コースタイムは約4時間、日帰りハイキングの行程としても手ごろです。

 肩から幅広の登山道を登っていきます。この日は運よく快晴で、空気も澄んでいました。少し歩いただけで早速北アルプスや南アルプスなど、山々の景色が広がってきます。アルプスの稜線(りょうせん)部にまだ雪は残っていますが、気候は初夏らしく、爽やかです。Kさんは「初めからこんな絶景が見られるとは想像していませんでした。感動しています」と気持ちも盛り上がってきたようでした。歩みを進めるごとに開ける山々を見渡し、約40分で山頂に到着しました。

南アルプスの甲斐駒ヶ岳や北岳、仙丈ヶ岳などを見ながら緩やかな道を山頂へ向かう

地図や地図アプリを使ってみる

 今回の山行(さんこう)のもう1つのテーマは、地図を使ってみることです。地図読みは登山に欠かせない大事なスキルの1つです。今回はその導入として、360度の展望が得られる車山山頂で、登山地図を使った山座同定(さんざどうてい)を体験してもらいました。

 地図は上(地面に置いたときは奥)が北、下(手前)が南として描かれています。そこで、コンパスを使って実際の方角と地図の向きを合わせることで、山の位置関係が分かります。登山地図にある広域図と、見えている山を照合していくことで、山名を知ることもできます。慣れてくるとゲーム感覚で山を当てられて面白いですし、山の名前も覚えられます。

登山地図を使って、実際に目にしている山がどの山かを調べてみる(山座同定)

 山座同定を楽しんでいると、Kさんが「スマホにいいアプリを入れてきましたよ」と言いました。見れば「YAMAP」という、登山者がよく使う地図アプリです。「YAMAP」は地形図画面の上に主要山岳の主な登山コースとコースタイムなどが表示されるアプリ。等高線が描かれた地形図で地図読みをすることは、初心者にはなかなか難しいのですが、このアプリはGPSとも連動していて、現在地が画面上、一目で分かります。操作も簡単なことから登山者に人気のようです。

 山座同定に使用している紙の登山地図は昭文社刊行の『山と高原地図』ですが、実はこちらにもアプリ版(iOS/Android)があります。通常版はアプリ本体が無料で、登るエリアの地図データを有料で加えていく方式。毎年山域マップを更新するため、実態に近い登山ルートの確認ができます。また、山のSNSコミュニティー「ヤマレコ」と連携できるアプリ「ヤマレコMAP」も、上記2つのアプリのように、現在地確認のほかGPSログを表示・記録することができます。

 上手に使うととても便利な地図アプリ。グループで広げて見ることができて、何より電池不要の紙の地図。現在は2つを併用する人が多いようです。地図を使うことで現在地を確認する習慣が身に付き、また頻繁に地図を見ることによって、自然と基本的な地図読みの力も付いてくるでしょう。少しずつ山のスキルを身に付けようとしているKさんの姿にうれしくなりました。地図アプリをいろいろ試して、自分の登山スタイルや好みに合ったものを使っていけばいいと思います。

見晴らし最高の車山頂上(白い円球は気象レーダー)

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執筆=小林 千穂

執筆=小林 千穂

山岳ライター・編集者。山好きの父の影響で、子どものころに山登りをはじめ、里山歩きから海外遠征まで幅広く登山を楽しむ。山小屋従業員、山岳写真家のアシスタントを経て、現在はフリーのライター・編集者として活動。『山と溪谷』『ワンダーフォーゲル』など登山専門誌に多数寄稿するほか、山番組にも出演。著者に『女子の山登り入門』(学研パブリッシング)などがある。2014年に南米のチンボラソ(6310m)に登頂。

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