人生を輝かせる山登りのススメ(第56回)

いろいろな角度から富士山を眺めてみよう

2020.01.28

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 長く、美しい裾野を引く富士山。どこから見ても、一目で分かるきれいな円すい形をしています。これは繰り返し噴火することにより形成される成層火山の特徴でもあります。静岡で育ち、今は山梨で暮らしている私は、さまざまな場所からの富士山を眺めてきました。よく観察してみると、実は方向によって富士山の表情は違うのです。

 世界遺産である富士山は、登ってよし、眺めてよしの素晴らしい山です。今回は見え方の違いに注目しながら、東西南北、富士山周辺の展望台を巡ってみましょう。

東からの姿は宝永火口が特徴

 最初に行くのは富士山の東側、静岡県御殿場市と神奈川県箱根町との境にある乙女峠。この記事の最初の写真は乙女峠ふじみ茶屋から行ける展望台から撮影したものです。国道138号が通っているため車で行きやすく、人気の絶景ポイントです。ここから見る富士山は山頂部がギザギザしています。そして約300年前の噴火でできた大きな宝永火口が左中腹にあるのが特徴。手前には御殿場の市街地が広がっています。夜景もきれいなので、夕景を眺めるのもいいでしょう。

 御殿場からもう少し南下して、南東側に位置する沼津や伊豆からは、宝永火口を正面に抱えた姿を見ることができます。静岡県東部の人にとっては宝永火口のある姿こそが富士山なのだとか。ロープウエーで行ける伊豆葛城山の富士見テラスなどから眺めてみてください。

南西からはとがった山頂

 次は、富士山の裾野を回って南西側へ向かいましょう。富士山本宮浅間大社がある富士宮市からは山頂がとがった富士山を見ることができます。富士宮から見上げると、富士山山頂の最高点である剣ヶ峰(3775.6mの三角点がある場所)が山頂部の中央に来るので、一般的にイメージする富士山とはちょっと違う形を楽しめます。また、山の上部に少し膨らみがあり、武骨で力強い印象です。富士宮市に2017年に開館した静岡県富士山世界遺産センターの最上階ホールからは、真正面にそびえる富士山を眺められますよ。

富士宮にある静岡県富士山世界遺産センターから。山頂がとがっている

 富士宮からさらに南西に約25㎞離れた、松林が生い茂る海岸、三保の松原からは、駿河湾越しの山が望めます。富士山世界文化遺産の構成資産にも登録されている三保から見た富士山は、宝永山が右の中腹に飛び出しているのがご愛嬌(あいきょう)。松と海とが組み合わさった富士山の眺めは、いかにも日本的です。

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執筆=小林 千穂

執筆=小林 千穂

山岳ライター・編集者。山好きの父の影響で、子どものころに山登りをはじめ、里山歩きから海外遠征まで幅広く登山を楽しむ。山小屋従業員、山岳写真家のアシスタントを経て、現在はフリーのライター・編集者として活動。『山と溪谷』『ワンダーフォーゲル』など登山専門誌に多数寄稿するほか、山番組にも出演。著者に『女子の山登り入門』(学研パブリッシング)などがある。2014年に南米のチンボラソ(6310m)に登頂。

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