Wi-Fiのビジネス活用術(第11回)

来訪者にも提供者にも“お得”なハイエンドWi-Fi

2017.10.11

クリップについて

 LANケーブルを使わず快適なインターネット接続を可能にするWi-Fiは、ビジネスシーンでも着実に浸透しつつある。最近ではオフィスでの利用に加え、店舗・ホテルへの来訪者にも積極的に開放する動きが見られる。拡大を続けるWi-Fiの動向を探ってみよう。

来訪者の利便性向上はWi-Fi開放で

 電波の届くエリア内であればどこでもインターネット・イントラネット接続ができる無線LANアクセスサービス(Wi-Fi)は、ビジネスシーンで浸透しつつある。Biz Clipが2017年6月に行った企業内のWi-Fi利用調査では、回答を寄せた企業の約7割がWi-Fiを導入済みであり、前回2015年12月の調査に比べて2割増となった。この傾向は今後も当分続くと思われる。

 Wi-Fiサービスの提供先にも変化が見られる。導入した企業の社員が利用することはもちろん、最近必要性の高まりを見せているのが来訪者向けのWi-Fiサービスである。

 ビジネス用Wi-Fiは、一般的なオフィスでの利用だけに限らず、最近では飲食店、ホテルなどを訪れる不特定の顧客向けにフリーWi-Fiとして提供するケースも多い。特に外国人観光客は日本に来訪したときに、公共スペースや観光地でWi-Fiが使えるかどうかを重視する。インバウンド需要を取り込もうと考えれば、Wi-Fi整備は必須といえるだろう。

市販ルーターでは不十分な可能性

 Wi-Fiを来訪者に開放するときは、いくつか注意点がある。単にWi-Fiを来訪者に開放すること自体は特に難しくない。極端にいえば現在使っている無線アクセスポイント(AP)に接続するためのIDとパスワードを来訪者に知らせるだけでOKだ。しかし、この方法は来訪者を社内ネットワークに参加させることになり情報漏えいやマルウエア感染など、セキュリティ上のリスクにもつながる。中にはパスワード不要で接続できる無線アクセスポイント(AP)を提供する例もあるが、これは自ら不正アクセスを招く行為ともいえるので絶対に避けたい。

 上記のようなリスクに対応するための方法を紹介しよう。現在市販されているWi-Fiルーターの多くには、来訪者向けに社内ネットワークへのアクセスを禁止し、インターネット接続だけを提供する機能(ゲストポート、ネットワーク分離機能、ゲストアクセスなど名称はさまざま)が装備されている。これらの機能により来訪者向けのSSIDとパスワードを発行し、利用してもらう。

 また、VLAN(Virtual Local Area Network)などで社内ネットワークとは別にインターネットのみアクセス可能なネットワークを用意して無線アクセスポイント(AP)を設置し、来訪者専用として運用する場合もある。これらの方法により構築された来訪者向けのWi-Fi環境は、駅や商業施設にある「フリーWi-Fi」とほぼ同じスタイルで利用できる。

 セキュリティ上の問題のほかにも、来訪者へのWi-Fi提供には課題がある。例えば「電波干渉」の問題だ。限られた周波数帯の電波を使うWi-Fiは、エリア内に多くの無線アクセスポイント(AP)が存在する環境ではお互いに干渉を起こす場合がある。このような場合、接続が突然切断されたり、不安定になったりしてしまう。導入後も小まめに電波状況をチェックし、混信を避ける運用を行うことでこうした問題を解決することができる。

 時折Wi-Fiの電波状況をチェックし、必要に応じて最適化することはそのまま顧客満足度の向上につながるため重要だ。せっかくWi-Fi環境を提供していても、利用者が不満に思うようでは逆効果になってしまうため注意が必要だろう。

SNS認証へのニーズの高まり

 Wi-Fiを開放するときに重要なのは「どうやって使うのか?」という利用者の利便性だろう。特に、外国人観光客を取り込みたい飲食店やホテルでは、Wi-Fi接続が容易であることが求められる。現在提供されている多くのフリーWi-Fiサービスでは、利用者情報を登録するためにメールアドレス、電話番号などが使われている。ほかに氏名や性別の入力を求められる場合もあるが、「手順が複雑で面倒」という不満が生じやすい。そこで注目を集めているのが、Facebook、Twitter、Google+などのSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)アカウントで認証を行う仕組みだ。高額な認証用サーバーを用意する必要がなく、日本語入力にストレスを感じる外国人観光客にとっても有効なことから、導入のメリットは大きい。

 多様化するWi-Fiへのニーズに応えるソリューションとして、IT関連事業者から新しいサービスが提案されている。例えば、NTT西日本の「スマート光ビジネスWi-Fi」はサポート付き企業向けWi-Fiサービスとして2015年から提供されているが、このたび来訪者向けの新機能を充実させた「ハイエンドプラン」が登場した。

 本プランは既存サービスのメリットである「導入のしやすさ」「サポート体制の充実」「低コスト」といった特長を残しつつ、来訪者のWi-Fi利用に役立つ機能が具備されている。Wi-Fi接続認証は上記のSNS認証に対応しているほか、NTTBPが提供する日本各地の対応エリアで簡単に無料Wi-Fiに接続できるアプリ「Japan Connected-free Wi-Fi」とも連携。利用者はJapan Connected-free Wi-Fiに一度登録しておけば、対応エリアに入るとID・パスワードの入力なしにWi-Fiへ接続できる。そのほか、メールアドレス認証も用意されている。

 サービスの向上につながる機能として、指定Webサイト表示機能も便利な機能だ。利用者がWi-Fiに接続すると、提供者が設定したWebサイトが初期画面として表示される。提供者にとっては、初期画面で自社のホームページやクーポン画面などを表示するなど、安価に広告効果を上げることができる。

 また、Wi-Fiの提供企業にとって魅力的な機能が利用状況表示機能(ダッシュボード機能)だ。これは、無線アクセスポイント(AP)が周囲の端末のWi-Fi電波を検知する仕組みを利用して、来訪者数や滞在時間などの情報を収集し、集めたデータを専用の管理Webページにグラフで表示する機能である。

 例えば店舗では、時間帯ごとの来店者数に関するデータ分析により顧客の来店傾向を把握して、効果的なタイムセールを企画したり、滞在時間を分析することで回転率を向上させたりするといった工夫ができる。これらのサービスは以前から一部の企業で利用されているが、専用システム構築や分析のコストが高いという理由から、導入をためらうケースも多かった。本プランではWi-Fiの月額利用料金のみ(※)で前述の機能が利用できるため、より手軽なマーケティング活用を可能にする。

※スマート光ビジネスWi-Fiの利用には、「フレッツ 光ネクスト」または「フレッツ 光ライト」もしくはコラボ光の契約・料金が必要

 なお、スマート光ビジネスWi-Fiは、今回発表されたハイエンドプランと並行して、オフィス内での利用をメーンとした「バリュープラン」も提供されている。いずれのプランも導入に際しては、必要に応じて現地の電波調査を実施し、障害発生時には電話による遠隔サポートを行うなど、細やかな支援体制がセールスポイントだ。「Wi-Fiを導入したいが任せられる人がいない」「市販ルーターだけではセキュリティが不安」といったユーザーにも適したサービスだといえる。

 スマートフォンが普及している現在、Wi-Fi提供は多くの来訪者にとってありがたいサービスだ。この便利な仕組みをいかにより安全かつ低コストで構築・運用するか。そして、Wi-Fiで得られるメリットをいかに生かすかがポイントになる。なお、学校、宿泊施設などにおけるWi-Fi整備には、国や自治体からの補助金が適用されるケースもある。導入に際してはこれらを総合的に検討し、提供者と来訪者、双方に役立つ魅力あるサービスとなるよう心がけたい。

SID : 00027011

連載記事≪Wi-Fiのビジネス活用術≫

執筆=林 達哉

執筆=林 達哉

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