ゴルフエッセー「耳と耳のあいだ」(第34回)

一番力の出せるポジションで、思う成果を生む方法

2018.05.18

クリップについて

 皆さんはゴルフでショットするとき、ボールに対してどこに立ちますか? アドレス時のボール位置は、「右打ちの場合は左足踵(かかと)の線上」で、ボールとの距離は、「グリップと体との間に握り拳1個か1個半空けた位置」と教わった人が多いと思います。多くのレッスン書にはそのように書かれていますし、ゴルフの指導者を認定する業界団体の教本にも、同様のことが書かれています。が、果たして本当にそれでいいのでしょうか?

 私はその教え方自体は間違っているとは言いませんが、少々違和感を覚えます。なぜなら、人はそれぞれ筋力も違えば、柔軟性も違うからです。体の大きさも異なります。ゴルフスイングの習得度もまちまちです。にもかかわらず、皆が皆、同じようにボールが左踵の線上になるように立ち、グリップエンドと体との距離を同じにしようとするのは無理があると感じるからです。

 しゃくし定規に決められた場所を意識し過ぎるのではなく、むしろ「ボールへのインパクトが一番強くなる場所に立つ」と考える方が自然なのではないでしょうか。もちろん、そうした感覚を身に付けるのは容易ではありません。まずは基本として教本の位置を試してみて、自分に最も合った位置に調整していくべきだと思います。

スイングは人それぞれ、立ち位置も人それぞれ

 腕を地面に対して水平に前に出す「前へ倣え」のポーズを取ると、左右の肩甲骨は背骨から遠ざかる方向に動きます。この肩甲骨の動きを生体力学では「外転」といいます。肩甲骨周辺の筋肉の柔軟性が高い人は、外転の動きも大きくできるので、腕をより大きく前に伸ばすことができます。一方、肩甲骨周辺が硬い人は腕をそれほど大きくは伸ばすことができません。このように、腕が伸ばせる長さには個人差があります。腕を伸ばせる長さには個人差があるにもかかわらず、画一的に同じ所にボールを置くような指導は不自然です。

 また、一見クラブシャフトは固い棒のようですが、実はそうではなく、ムチのようにしなります。このしなりが、ボールをより遠くに飛ばすには重要です。ダウンスイングで、手元よりもグラブヘッドが遅れる方向にしなったシャフトは、ヘッドが遅れたままボールにインパクトするのではなく、インパクトの直前でクラブヘッドが手元を追い抜き、逆方向にしなる「しなり戻り」という現象が起こります。この「しなり戻り」がボールを効率よく飛ばすには不可欠です。

 上級者になればなるほど、この「しなり戻り」が上手に使えていて、より効率よくボールを飛ばすことができます。そして、このしなり戻りのタイミングは、ヘッドスピードやスイングの習得度によって変わってきます。

 このようにゴルフプレーヤーには、ヘッドスピードが速い人も遅い人も、上級者もビギナーもいます。ですから、皆一様にボール位置を「左足の踵線上に」とばかり教える指導には無理があると感じるのです。ボール位置は、ヘッドスピードやスイングの習得度によって変わるのが自然だと思います。

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執筆=小森 剛

執筆=小森 剛ゴルフハウス湘南

有限会社ゴルフハウス湘南の代表取締役。「ゴルフと健康との融合」がテーマのゴルフスクールを神奈川県内で8カ所運営する。自らレッスン活動を行う傍ら、執筆や講演活動も行う。大手コンサルティング会社のゴルフ練習場活性化プロジェクトにも参画。著書に『仕事がデキる人はなぜ、ゴルフがうまいのか?』がある。

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