ゴルフエッセー「耳と耳のあいだ」(第62回)

健康づくりに役立つゴルフの5大要素

2020.09.15

クリップについて

 新型コロナウイルスの感染拡大をきっかけとして、テレワークやオンライン会議をスタートさせたという会社は多いのではないのでしょうか。その一方で、通勤や出張などによる移動が減り、運動不足を感じる従業員も増えているようです。

 私が主管するゴルフスクールにお越しいただくお客さまにも、「平日はテレワークでほとんど家から出ない」という方が増えてきました。そうした皆さまから多く聞かれたのが、「肩がこる」「腰が痛い」、そして「太った」といったカラダの不調を訴える声です。月曜日から金曜日まで、テレワークで自宅からほとんど動かずに働いている人は、ぜひ休日にはゴルフを楽しんでみてください。なぜなら、ゴルフには人を健康にする要素がたくさんあるからです。

 今回は、ゴルフが健康の保持増進に役立つ5つの要素についてお伝えしましょう。以下のような要素について、それぞれ健康効果について説明します。

・歩く
・紫外線を浴びる
・脳を活性化する
・緑の中でプレーする
・交友を広げる

健康効果を高める要素「歩く」「紫外線を浴びる」

 ゴルフというスポーツの特長の1つに長い距離を“歩く”ことが挙げられます。日本のゴルフ場の平均距離は、1ラウンド(18H)の合計で約6200ヤード(=5.7km)です。この距離を歩くと、歩数は約7600歩になります。もちろんアベレージゴルファーは左右にボールを曲げますので歩行距離は長くなり、1ラウンドで約10kmは歩くといわれています。それを歩数にすると約1万3000歩です。

 厚生労働省は「健康づくりのための身体活動基準2013」で、18~64歳の身体活動(生活活動・運動)の基準を1日合計60分、元気に体を動かすこと(強度が3メッツ以上の身体活動を23メッツ・時/週)と示しています。この基準を歩数換算すると8000~1万歩/日となり、ゴルフ1ラウンドプレーの運動量は、これを余裕でクリアすることになります。

 ちなみにメッツとは運動強度の単位で、安静時を1とした時と比較して何倍のエネルギーを消費するかで活動の強度を示したものです。国立健康・栄養研究所の「身体活動のメッツ表」によると、ゴルフの運動強度は電動カートなどに乗ってラウンドする場合で3.5メッツ、クラブを担いで運んだ場合は4.3メッツとなっています。比較的低強度で健康づくりに取り組めるスポーツであることが分かります。毎日のウオーキングやジョギングなどと組み合わせると、飽きずに続けられる健康習慣になるでしょう。歩くことは健康の保持増進にプラスになるだけではなく、ゴルフのスコアアップにも効果的です。それについては第16回「スコアも翌日の仕事も絶好調にするゴルフ~歩行編~」で詳しく説明しました。参考にしてください。

 太陽の下でプレーするゴルフは骨を丈夫にしますから、骨粗しょう症予防にも効果的です。自分の脚でコースを歩くと、地面から下肢の関節に適度な衝撃を受けます。骨は衝撃を与えると強くなるので、歩くたびに下肢の骨が強化されていくといってもいいでしょう。骨の強化にはカルシウムが必要ですが、単にカルシウムが多く含まれている食材を取ればよいというものではありません。摂取したカルシウムを骨が吸収するには、活性化されたビタミンDが必要です。そして、ビタミンDの活性化に欠かせないことが“紫外線を浴びる”ことです。

 ビタミンDの約90%が、紫外線B波のエネルギーを皮膚が吸収することで生成されるそうです。紫外線を浴びなければ、ビタミンDが活性化されず、どんなにカルシウムを摂取しても骨がカルシウムを吸収できず、その結果、骨がどんどん弱くなってしまうのです。ただし、紫外線は、浴び過ぎるとシミなどお肌に悪影響を及ぼしますし、目の老化や白内障の原因にもなります。そうしたマイナスの効果を防ぐために帽子やサングラスを着用するなどの紫外線対策を忘れないようにしましょう。

認知症予防にも効果的な「脳トレ運動」

 ゴルフは、コース状況を把握し、戦略を練り、リスクヘッジしながら頭を使ってプレーを進め、「歩く」「ボールを打つ」という運動をします。また、コース内の距離表示などの情報を頼りに残りの距離を算出したり、またスコアを数えたりといった計算も行います。さらに、プレーにおいて適度なプレッシャーがかかることで脳に刺激が与えられるため、脳が活性化します。まさにゴルフは、自然の中で楽しみながら行う“脳トレ運動”といえるでしょう。

 関東ゴルフ連盟、日本ゴルフ場支配人会連合会、日本芝草研究開発機構、日本女子プロゴルフ協会、日本プロゴルフ協会によって構成されている「ウィズ・エイジングゴルフ協議会」(略名WAG)という研究チームがあります。WAGは、国立長寿医療研究センターと東京大学、杏林大学との共同研究で、ゴルフで記憶力が改善されることを明らかにしました(興味のある方は、WAGのホームページをご覧ください)。

 話は少々ゴルフから外れますが、内閣府の公開資料によると、介護が必要な人、つまり要介護者の人数は、介護保険が始まった2000年は218万人でした。これが2017年では、何と3倍近い633万人に増加しています。そして、2019年の「国民生活基礎調査」で、要介護の原因でもっとも多いのが「認知症」であると発表されました。次いで「脳血管疾患」、「高齢による衰弱」と続きます。つまり、認知症を予防することは、自分自身が要介護になるリスクを減らす上でとても重要な取り組みであるといえるわけです。

 認知症予防に効果的なのが「デュアルタスク運動」です。デュアルタスク運動とは、別名「二重課題運動」と呼ばれ、運動をしながら計算するなどの“ながら運動”によって脳を活性化するものです。ウオーキングをしながら足し算や引き算を行う、足踏みしながら右手が勝つように1人ジャンケンをする、などです。これらは、ゴルフプレーで自然に実践できている“脳トレ運動”とも通じる行為です。ゆえにゴルフは、認知症予防にも効果的なスポーツといえるかもしれません。

 ゴルフは“緑の中でプレーする”ため、森林浴に相当する効果も得られます。森林浴は、樹木から出る揮発成分(フィトンチッド)により、リラックス、癒やし、ストレス軽減といった効果に加え、気力や活力といったエネルギー回復、自律神経のバランス向上、血圧や脈拍の低下、免疫力アップなどの効果があります。

 このように、「歩く」「紫外線を浴びる」「脳を活性化する」「緑の中でプレーする」といったことを通じて、ゴルフが健康づくりにとても効果的であることをお分かりいただけたと思います。そして、これまでの本コラムでもお伝えし続けているように、ゴルフにはビジネススキルや社会人力を向上させる要素がたくさんあります。

 ゴルフは年齢や性別、ゴルフの腕前に関係なく一緒に楽しめるので交友が広がります。“交友を広げる”ことはコミュニティー形成にも役立ちます。つまり、ゴルフは社交性を育み、社内コミュニティー形成にも役立つツールであり、さらにビジネススキルや社会人力を向上させる「人材育成ツール」としても効果的であり、心身両面から健康の保持増進に役立つスポーツなのです。

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執筆=小森 剛

執筆=小森 剛ゴルフハウス湘南

有限会社ゴルフハウス湘南の代表取締役。「ゴルフと健康との融合」がテーマのゴルフスクールを神奈川県内で8カ所運営する。自らレッスン活動を行う傍ら、執筆や講演活動も行う。大手コンサルティング会社のゴルフ練習場活性化プロジェクトにも参画。著書に『仕事がデキる人はなぜ、ゴルフがうまいのか?』がある。

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