一足お先に!IT活用でパワーアップ(第2回)

川岸の本所の津波対策にクラウドサービスを活用

2015.10.06

クリップについて

 「徳島市は南海トラフ巨大地震による津波の危険性が指摘されています。JA徳島市の本所は海抜ゼロメートル地帯にあり、すぐ脇を新町川という川が流れています。以前、東日本大震災の際も津波警報が発令されました。当時は、本当に緊張しました」。こう語るのは、JA徳島市代表理事専務の松田清見氏だ。

<徳島市農業協同組合(JA徳島市)>

徳島県徳島市と佐那河内村(さなごうちそん)を地盤とする農業協同組合。徳島特産のかんきつ類「スダチ」やサツマイモの「なると金時」といった名産品をはじめ、シイタケ、ホウレン草、ブロッコリーなどの野菜、イチゴなどの果物、ユリや洋蘭などの花を全国に販売する。スダチ加工品などの製造も行う。組合員数は約1万5000人、26カ所の店舗・施設を運営する。

 「以前はサーバールームを本所に設置していました。震源が離れた東日本大震災ですら津波の恐れがあったのに、南海トラフ巨大地震の際にはどうなるのか。サーバーがこの場所で大丈夫なのかという懸念が生まれました。その結果、サーバーを更改する計画の中で、より安全な場所にデータを移管すべきではないかという議論が始まりました」(松田代表理事専務)

  JA徳島市は、本所ビル2階にサーバールームを設け、ラックに設置した10数台のサーバーを自社で管理・運用していた。しかし、災害時の事業継続を考えればデータの災害対策が必要不可欠なのは明らかだった。そこで、選択したのが遠隔地にデータを保管でき、どこからでもアクセスできるクラウドサービスを活用する方法だ。本所が被災した場合でも、支所で対応できるような事業継続計画(BCP)対策を視野に入れた。

災害対策に加え、サーバー更改からも解放

 業務システム移管の実務を担当したJA徳島市総務部電算管理課の小谷武志氏は、「徳島県の防災マップによると、サーバールームがある本所の2階は浸水の危険性が高いと分かりました。改善策として、最上階に移すことも検討しましたが、その場合セキュリティ対策も見直す必要があるなど、移設費用以外のコストも発生することが問題でした」と振り返る。さまざまな検討の結果、耐震性や安全性が格段に高いデータセンター利用が有力となった。

 災害対策、BCP対策と並んで、もう1つJA徳島市が課題と考えていたことがあった。サーバー更改の手間とコストだ。小谷氏は、「自社管理・運用のサーバーは、5年程度の周期で更改する必要があります。OSや業務ソフトは長期間使えるにもかかわらず、サーバーの保守期間切れなどのために、5年を目安とした更改が必要になっていたのです」と語る。

 BCP対策としては、自前のサーバーをデータセンターに預ける「ハウジング」でも改善が図れるが、サーバーの更改における手間やコストの課題は解決できない。2つの課題を同時に解決できるのが、データセンターのサーバーを借りて、JA徳島市の業務システムを移管する「クラウド」だったのだ。

 クラウドサービスを選択するに当たって、JA徳島市ではどのようなポイントを重視したのだろうか。小谷氏はこう語る。「最大のポイントはデータセンターの立地条件です。万が一の際には現地に急行できる距離であり、地震や津波に対して高い安全性を保てる立地を求めました。さらに南海トラフ巨大地震の際に徳島市が被災した場合でも、同じような被害を受けない立地にデータは置いておきたいと考えました」。

 「もちろん、データセンターの建物の堅牢性、停電時などの災害対策、人的管理の厳重さといった、セキュリティ対策も重視しました。こうした要件を満たした上で、データセンターと本所を結ぶネットワークを含めた運用保守の容易さや、導入(初期)・運用のコスト面も考慮しました。データセンターには、組合員の大事なデータを預けることになります。安心して任せることができる企業に候補を絞り込みました」(小谷氏)

立地条件とコストが選択の決め手に… 続きを読む

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執筆=岩元 直久

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