実例で学ぶ!ドラッカーで苦境を跳ね返せ(第6回)

潜在的な機会編 将来の不安をチャンスに変える

2016.03.07

クリップについて

 ドラッカーは、潜在的な機会の発見に努めることこそ企業の生き残りのポイントとしている。潜在的な機会は、外部環境がいいときだけに見つかるわけではない。今回は将来の不安の中にチャンスを見つけたケースを紹介する。

ドラッカーに学んだ先輩企業(4)「北海道健誠社」(中編)

●ドラッカーの言葉
「あらゆる企業が、隠れた機会をもち、あるいは弱みを機会に変えることができるということではない。しかし、機会をもたない企業は生き残ることができない。そして潜在的な機会の発見に努めない企業はその存在を運に任せることになる」

(『創造する経営者』)

〈解説〉脅威に見える変化を利用して機会に変える。これは経営者の責務である。企業経営に問題は尽きない。しかし、問題の対応に追われるのは、過去に生きていることを意味する。そこに未来はない。未来に生きると経営者が決意したとき、脅威の中に隠された機会に気づき、活用することが可能になる。脅威に背を向け、運を天に任せてはならない。

 原油価格が急騰して、会社が危機に陥るかもしれない。

 2005年、北海道健誠社(北海道旭川市)の瀧野雅一専務がそんな危機感を口にしたとき、社内では誰も耳を傾けなかった。北海道健誠社は、ホテルや病院向けのリネンクリーニングを主力とする。1992年に瀧野専務が、父母とともに設立した(第5回参照)。

 クリーニング工場には大型ボイラーが設置され、その燃料として重油を大量に使っていた。当時、原油価格の高騰に伴い、重油の価格はじわじわ上がり始めていたが、数年後にさらに約2倍に跳ね上がるとは、誰も予想していなかった(下図参照)。

 だが、重油の価格は自分たちの努力ではコントロールできない。瀧野専務は不安を覚えた。そこで重油の代替となる燃料を調べたところ、木くずなどを燃料にする「木質バイオマスボイラー」の存在を知った。早速導入に向けて調査を始めたものの、社内では反対する声が強かった。

 このとき、ドラッカーの言葉が支えになった。「あらゆる関係者が起こりえないと知っていることこそ徹底的に検討しなければならない。起こりえないことが、自社にとって何かを起こすための大きな機会となる」(『創造する経営者』)。

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SID : 00042006

佐藤等公認会計士事務所所長、公認会計士・税理士、ドラッカー学会理事。1961年函館生まれ。主催するナレッジプラザの研究会としてドラッカーの「読書会」を北海道と東京で開催中。著作に『実践するドラッカー[事業編]』(ダイヤモンド社)をはじめとする実践するドラッカーシリーズがある。

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