実例で学ぶ!ドラッカーで苦境を跳ね返せ(第9回)

自らの事業は何か編 売り上げを捨てて連続増収増益

2016.06.06

クリップについて

 未知の世界に飛び込む変革期の経営者は悩み続けるものだ。顧客を見失うことなく、自社の強みを生かす方法は多数ある。その中で、ドラッカーは「われわれの事業は何か」という問いを通じて徹底的な思考と検討することの大切さを訴えかけている。今回はこの問いに対し、見事な解を導き出した経営者のケースを紹介する。

ドラッカーに学んだ先輩企業(6)「真田」

●ドラッカーの言葉
「『われわれの事業は何か』という問いは常に難しく、徹底的な思考と検討なくして答えることはできない。しかも通常、正しい答えはわかりきったものではない」

(『現代の経営〈上〉』)

〈解説〉この問いに向き合うと多くの経営者が業種を答える。しかし、この問いに答えるには、少なくとも次の2点を明確にする必要がある。「われわれの顧客は誰か」「顧客にとっての価値は何か」――検討すべき顧客層は複数ある。目の前の顧客だけでない。顧客を見直して初めて、「顧客にとっての自社の存在意義」が見えてくる。自社の強みを生かすのは重要だが、顧客を見失うと失敗する。そこで食品メーカーの真田(京都府宇治市)は、顧客を「良き生産者を評価できる消費者」に絞り込んだ。

 2期連続の減収。それまで25年、伸びてきたのに──。食品メーカー真田(京都府宇治市)の真田千奈美専務は危機感を募らせていた。

 真田は「山城屋」ブランドで干物の製造、販売を手掛ける。1904年、山城屋の商号で煮干し問屋として創業。戦後はスーパー向けに幅広く食品卸を手掛けた。

 メーカーに業態転換したのは81年。当時取締役だった真田佳武社長が主導した。「大手スーパーの購買力が強まる中で、売上高30億円ほどだった、うちのような中小卸は生き残れない」とにらんだ。

 メーカーとしては売上高5億円ほどからの再スタートだった。しかし、強みのあった干物分野の知識を生かし、当時まだ珍しかった「金ごま」を「京いりごま」の名前で商品化。大ヒットさせるなど高付加価値路線で軌道に乗った。

 こうして2005年12月期には、売上高36億円に成長した。だが、06年12月期、07年12月期と2期連続で、それぞれ約2億円ずつ売り上げが減少した。

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SID : 00042009

佐藤等公認会計士事務所所長、公認会計士・税理士、ドラッカー学会理事。1961年函館生まれ。主催するナレッジプラザの研究会としてドラッカーの「読書会」を北海道と東京で開催中。著作に『実践するドラッカー[事業編]』(ダイヤモンド社)をはじめとする実践するドラッカーシリーズがある。

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