実例で学ぶ!ドラッカーで苦境を跳ね返せ(第14回)

汝の時間を知れ編 時間を記録して利益がV字回復

2016.11.07

クリップについて

 実例でドラッカーのマネジメントを学ぶ連載の第10回は、時間の管理(時間の記録)を通じて、収益改善を実現した企業を紹介する。時間の管理を行うことで、隠れたムダを発見できるだけでなく、従業員1人ひとりの意識が変わり「この仕事は何のために行うのか」を自ら問いかけるようになったという。

ドラッカーに学んだ先輩企業(11)「ウイッツコミュニティ」

●ドラッカーの言葉
「成果をあげる者は仕事からスタートしない。時間からスタートする」
(『経営者の条件』)

<解説>スケジュール管理を行う人は多い。仕事が発生すると手帳に記入し、時間を埋める。こうして空いていた時間を失う。すなわち、仕事からスタートしている。それでは成果は上がらない。時間の創造からスタートすべきである。すなわち時間管理とは、空き時間をつくることであるべきだ。スタートラインの違いは、意識の違いを生む。時間の創造から着手する者は、時間が限られた資源であることを深く理解する。だから、非生産的な仕事を特定し、それを廃棄しようとする。今までのやり方を変えようとする。自ら考えて決断し、行動するようになる。

 創業以来、初めての減収減益。ウイッツコミュニティ(神奈川県相模原市)の柴田正隆社長は、頭を抱えていた。

 1990年、大学生のときに起業した。ビル清掃からスタートし、ビルメンテナンスやマンション管理に業容を拡大。右肩上がりで成長を続けてきた。

 ところが、2011年2月期、大幅な減益に陥った。それまで数年間、コンスタントに4000万~5000万円の経常利益を上げていたのが、約900万円に落ちた。

 「今思えば、従業員数が100人を超えて数年たった頃だった。社長の私1人では会社を隅々まで見られなくなり、隠れたムダが増えていたのだろう」と、柴田社長は振り返る。

 だが、当時はそんな構造的な問題に気付かず、ただ焦った。明確な打ち手が見つからないまま、社員に「もっと気合を入れろ」「頑張れ!」と、精神論の号令を掛けることしかできなかった。

 そんなとき、後輩の経営者の誘いでドラッカーのセミナーに参加した。そこには目からウロコが落ちるような驚きが待っていた。

 ドラッカーの主張はすべてにおいて、今までの自分と正反対だった。例えば「強みを生かせ」とドラッカーは説くが、自分は社員の弱点を直そうとばかりしていた。「利益は、目的ではなく条件なのだ」という指摘も衝撃的だった。しかも、それぞれの論拠に説得力がある。「ドラッカーに従えば、自社の減益は当然の結果だ」と納得した。

 その後、14年と15年、課長職以上の管理職全員に、自分が受けたものと同じセミナーを受けさせた。「社長が本気にならなければ、会社は変わらない。だが、社長1人でできる改革には限界がある。本気で会社を変えるには、社員を巻き込まなくては」と考えたからだ。

 社長のその思いが、1人の管理職を動かした。

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SID : 00042014

佐藤等公認会計士事務所所長、公認会計士・税理士、ドラッカー学会理事。1961年函館生まれ。主催するナレッジプラザの研究会としてドラッカーの「読書会」を北海道と東京で開催中。著作に『実践するドラッカー[事業編]』(ダイヤモンド社)をはじめとする実践するドラッカーシリーズがある。

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