実例で学ぶ!ドラッカーで苦境を跳ね返せ(第29回)

専門化と多角化編 ニッチ市場でトップを狙う

2018.04.04

クリップについて

ドラッカーに学んだ先輩企業(17) 三州製菓 (2)

社員の反発、父の主張

斉之平社長

 洋菓子に自社の強みはない。斉之平社長が可能性を感じたのは、和菓子専門店向けの米菓だ。

 具体的には、和菓子専門店にせんべいやあられをOEM(相手先ブランドによる生産)提供したり、卸したりする。多品種少量生産が求められるので、大手は参入しない。このニッチな市場ならシェアトップも狙えるし、利益率も上げられる。

 こうして戦略が定まった。

 しかし、いざ実行に移すとなると、社員は反発した。菓子問屋を経由した量販店向けの市場から撤退し、専門店に直接、売り込む。その戦略は営業社員にとって、これまで親しくしていた問屋を中抜きすることを意味した。製造部門にしてみれば、多品種少量生産は面倒だ。社員の離職が相次いだ。

 しかも、事業転換は一気にできない。販売先を切り替える間、一時的な売り上げ低下は不可避で、慎重に進める必要があった。

 幸い、当時社長だった父は息子の戦略に同意した。しかし、営業先の選定など戦術レベルで意見が分かれる場面は多くあった。

 そんなときは父の主張に従った。「どちらが正しいかは、やってみなければ分からない。父の言う通りにやってダメなら、私の戦術に切り替える。どちらを先に試すかだけの問題」と割り切った。こうして10年ほどかけて販売先を切り替え、事業転換を完遂すると、売り上げも利益も伸びた。

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連載記事≪実例で学ぶ!ドラッカーで苦境を跳ね返せ≫

佐藤等公認会計士事務所所長、公認会計士・税理士、ドラッカー学会理事。1961年函館生まれ。主催するナレッジプラザの研究会としてドラッカーの「読書会」を北海道と東京で開催中。著作に『実践するドラッカー[事業編]』(ダイヤモンド社)をはじめとする実践するドラッカーシリーズがある。

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