社長のための戦略的IT経営物語(第2回)

その会社、誰かがすでに営業済みかも

2016.07.06

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――業種を問わず、ビジネスに営業活動は欠かせない。ところが、効率的な営業を行えている会社は少ないのが実情だ。どうすれば営業効率を改善できるのか――。悩みを抱える困田(こまた)社長は、戦略的にITを活用している先輩の美頭(びず)社長を訪れた。営業効率を上げるいい知恵はないものか? 

困田社長:お忙しいところすみません。今日はうちの会社の営業についてお知恵を拝借したいと思いまして。

美頭社長:君の会社には優秀な営業スタッフが何人もいるじゃないか。うらやましいと思うくらいなのに、いったい何が問題なの?

困田社長:確かにみんな頑張ってくれていますよ。でも最近、「効率悪いことしているなあ」と感じることがよくあって……。ついこの間も、ある企業に社員が飛び込みで営業したら、別の社員が少し前に訪問済みで、すでに商談中だったことが分かったんです。

美頭社長:それはちょっと格好悪いね。

困田社長:新規取引先の情報は毎朝のミーティングで報告しているはずなんですけど、年度末で忙しい時期だったせいか、情報が共有されていなかったようです。

美頭社長:ミーティング以外に共有する方法はないの?

困田社長:全社員にノートパソコンを支給しているんですが、うちの営業は1人当たりの担当エリアが広くて、とにかく会社にいる時間が短いんです。直行直帰は当たり前だし、出張も頻繁にある。持ち歩く資料や書類も多いから、営業によってはパソコンをあまり使っていない感じですね。

美頭社長:最近はスマートフォン(以下、スマホ)で顧客情報を見られる仕組みもあるから、考えてみたら?

困田社長:そうですね。実は少し調べてみたんですが、かなりコストがかかるみたいで気が引けてしまって。便利なのは分かるんですけどちょっと敷居が高いというか、「そこまで必要なのかな?」と思いました。

美頭社長:その気持ちは分かるよ。費用対効果を検討するのは当然だし、使いこなせなかったときの損失は大きいからね。でも最近は、必要な機能を絞ってローコストで顧客管理できる仕組みが出てきているよ。

スマホでも利用できる「クラウドアドレス帳」が便利

困田社長:今本当に必要なのは取引先の基本的な情報ですね。細かいところまでは必要ないから、電話番号と取引先担当者名が分かればまずは十分です。

美頭社長:それならアドレス帳の共有が手っ取り早いね。クラウドを使った共有も考えてみるといいよ。今うちで使っているのもクラウドアドレス帳だけど、ちょっと画面を見てみて。

困田社長:ズラッと取引先が並んでいますね。

美頭社長:社名のところをタッチすれば、そのまま電話できるんだ。

困田社長:これなら使いやすそうです。でもスマホに付いている電話帳とどこが違うんですか?

美頭社長:ここに表示されているアドレスは、スマホ本体に保存されているものではなくて、クラウド上のデータなんだ。

困田社長:クラウドって最近よく聞きますけど、どんな仕組みなんですか?

美頭社長:簡単に言うと、データをインターネット上のサーバーに置いて、端末から必要なときに閲覧する仕組みだよ。インターネットに接続する環境があれば、基本的にはどこからでもデータを見られるんだ。

困田社長:かなりの費用がかかるんじゃないですか?

美頭社長:クラウドは自社でサーバーを買う必要がない分、低コストだよ。それにもし使っていて不満があるようならサービスを解約すればいいから、気軽に試してみることができるのもメリットだよ。

困田社長:そう言えばこの前、若手の社員が「無料のアドレス帳を使いましょう」って提案していた気がします。これでもいいんでしょうか?

美頭社長:最近はいろいろなアプリが出ているから、それも選択肢の1つだろうね。だけど無料アプリは機能を制限していることが多い。例えばサポートはメール経由だけとか、データ消失の責任を一切負わないとか。取引先のデータというのは重要な情報だから、セキュリティーがしっかりしたサービスでないと。やはりビジネス用途に見合ったものを選ぶのがいいと思うよ。

困田社長:クラウドアドレス帳を入れたスマホを紛失したときはどうすればいいんですか?

紛失しても安心な仕組み… 続きを読む

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連載記事≪社長のための戦略的IT経営物語≫

執筆=林 達哉

執筆=林 達哉

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