システム構築のための調整力向上講座(第1回)リーダーの仕事は人を動かす調整力

コミュニケーション

公開日:2015.10.28

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 システム構築プロジェクトには、経営者や利用部門など多くのステークホルダー(利害関係者)が加わり、成功への難易度を高めています。システム構築リーダーには、ステークホルダー間で対立する考えをまとめ上げる「調整力」が重要になります。筆者の経験を基に、プロジェクトを成功に導くための調整力を発揮するための各種ノウハウを紹介します。

解消しないけど向き合う!ジレンマの許容度が重要

 システム構築プロジェクトには、企業の経営者や利用部門、SIベンダーなど、多くの異なる立場の人がステークホルダー(利害関係者)として参加します。システム構築リーダーは、各ステークホルダーの狭間で板挟みになりがちです。

 例えば、現場視点で経営層に報告をすれば、「分かってない」と叱られ、経営層の意図を現場に伝えようとすれば「あちら側の人じゃないと思っていた」などと責められる。複数の対立した視点はあるが、どちらの言い分も尊重したい。その結果、どちらからも「あちら側」扱いされてしまう――。そんなつらい立場にいるのがシステム構築リーダーです。

 今、システム構築リーダーは、異なる視点の多くのステークホルダー間の意見を調整する力が必要です。当連載では、この「調整力」を身に付けて実践する方法を解説します。さまざまなプロジェクトにおける“修羅場経験”を理論的な裏付けとセットにして紹介していきます。

ジレンマが解消することはない

 筆者はこれまで、プロジェクトマネジャーやコンサルタントとして、開発プロセスを改善する立場や利用部門をサポートする立場など、異なる視点から多くのプロジェクトにかかわってきました。この経験から得たのは、プロジェクトに対する要求はステークホルダーによって異なるものの「それぞれの言い分はもっともだ」ということです。このため、間に立つリーダーは常にジレンマに陥ることになります。このジレンマをいかに乗り越えていくかが腕の見せ所です。

 リーダーが直面するジレンマは、決して解消されることはありません。また、ジレンマは常に発生し続けます。こうした状況で、さまざまなジレンマを抱えながらプロジェクトを成功に導くのがリーダーの役割なのです。

 ここでジレンマの話をするのは、リーダーのみなさんにまず覚悟を決めてもらいたいからです。人は、ジレンマを解消したいと思うから悩みます。しかし、解消されないのであれば、それを前提として正面から向き合うしかありません。ただし、向き合い方一つでジレンマを乗り越えるためのハードルの高さを変えることが可能です。

現場リーダーが抱える「7つのジレンマ」

 過去に筆者がリーダーとしてプロジェクトにかかわった経験から、ジレンマのタイプは大きく7つに分類できます。これらの内容とその解決策(アプローチ)を見ていきましょう。今回はジレンマの(1)から(4)までを解説します。

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(1)判断軸のジレンマ…

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執筆=芝本 秀徳/プロセスデザインエージェント代表取締役

プロセスコンサルタント、戦略実行ファシリテーター。品質と納期が絶対の世界に身を置き、ソフトウエアベンダーにおいて大手自動車部品メーカー、大手エレクトロニクスメーカーのソフトウエア開発に携わる。現在は「人と組織の実行品質を高める」 ことを主眼に、PMO構築支援、ベンダーマネジメント支援、戦略構築からプロジェクトのモニタリング、実行までを一貫して支援するファシリテーション型コンサルティングを行う。

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