システム構築のための調整力向上講座(第2回)

ジレンマの許容度の高さが優秀なリーダーの条件

2015.11.25

クリップについて

 前回、システム構築リーダーは、7つのジレンマを抱えることを紹介し、そのうち4つについて解説しました。今回は残りの「根回し」「曖昧と詳細」「調和と衝突」のジレンマの内容と解決策(アプローチ)を説明します。

(5)根回しのジレンマ

 システム構築リーダーの立場としては、できるだけ早くプロジェクトを進めたいのが正直なところです。しかし、どうしても「根回し」が必要となります。会議の場でいきなり「こうなりました」とブチ上げれば、「そんなことは聞いてない」「決定したものを通達するだけなら会議はいらないだろう」と、相手に反発を生じさせてしまいます。

 人は、自分に知らされていないことを、いきなり「決定事項」のように言い渡されると、内容の是非はさておき、ともかく反論するものです。その時点まで熟慮を重ねていたとしても、根回しを怠ると、その挽回に労力を費やすはめになってしまいます。

 根回しというとネガティブなイメージを持つ人が多いかもしれません。しかし、ステークホルダーの協力を引き出し、プロジェクトを円滑に進めるためには、必要不可欠なものです。「根回し」とはもともと、木を移植するときに、先立って根元周りを切っておき、移植先で新しい根の発達を促すことを指します。そこから転じて、物事を進めるときに、事前に関係者に話を通しておくことをいいます。

 根回しをする、事前に話すということは、相手を「大切に思っている」という意思表示です。ビジネスなんだから、もっとドライにいくべきだという考え方もあるでしょう。しかし、ビジネスも結局は人の営みです。相手が気持ちよく動いてくれるためにはどうすればいいのかを考える。その一つが根回しなのです。

(6)曖昧と詳細のジレンマ

 プロジェクトの開始時は、要求が固まっていないどころか、何をしたいのか、どのようなゴールを描いているのかさえ明らかになっていないことがほとんどです。経営層からは曖昧な要求しか出てこず、かつその要求は頻繁に変化します。

 このような状況のなか、発注企業の情報システム部門、ベンダーともに採ってしまいがちなアプローチは、「詳細をできるだけ曖昧にしておいて、あとでなんとかできるようにする」というものです。… 続きを読む

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執筆=芝本 秀徳

執筆=芝本 秀徳プロセスデザインエージェント代表取締役

プロセスコンサルタント、戦略実行ファシリテーター。品質と納期が絶対の世界に身を置き、ソフトウエアベンダーにおいて大手自動車部品メーカー、大手エレクトロニクスメーカーのソフトウエア開発に携わる。現在は「人と組織の実行品質を高める」 ことを主眼に、PMO構築支援、ベンダーマネジメント支援、戦略構築からプロジェクトのモニタリング、実行までを一貫して支援するファシリテーション型コンサルティングを行う。

連載記事≪システム構築のための調整力向上講座≫

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