システム構築のための調整力向上講座(第31回)

組織でパワーと影響力を行使するポイント(上)

2018.04.12

クリップについて

組織の力学を理解する

 組織には「力学」が働いています。力学とは「関係性」です。組織の本質は相互依存性であり、1人では何事も成し遂げられません。組織で成果を生み出すには、組織に働く力学を理解する必要があります。人と人との依存関係を知り、自分の目標を達成するのに役立つ関係を構築するのです。力学を理解しているのと、そうでないのとでは、プロジェクトの進み方に何倍もの差が出てしまいます。

 この力学は、役職や公式の権限とはあまり関係がありません。特に日本の企業では、給料や待遇の差などが、実際の力学を覆い隠すように設計されているといわれています。物事を動かしているのは、必ずしも役職が高い人というわけではなく、実際に動かしている人物が他にいることが多いのです。

 フェファー氏は、組織の力学(相互依存性)を把握するために、以下の問いを投げかける必要があるといっています。

(A)自分が意図していることを達成するためには、誰の協力が必要なのか
(B)自分が実行しようとしていることを遅らせたり、妨げたりするのは誰の反対か
(C)自分が達成しようとしていることで影響を受けるのは誰か。
   その影響は(a)その人のパワーや地位か(b)彼らの評価のされ方や報酬か(c)彼らの仕事のやり方か
(D)自分の目から見て、影響力がある人々の中で友人や同盟者は誰か

 これらの問いに答えるには、以下のことを考えると分かりやすいでしょう。

●誰が、誰の声を聞く傾向があるのか
●会議で発言が通りやすいのは誰か
●誰と誰の仲がよいのか
●誰は、誰に頭が上がらないのか
●誰は、誰をかわいがっているのか
●現場に影響力を持つのは誰か
●社内で今勢いがあるのは誰か

 これらのことは、普段から周りの人たちの関係に目を配っていなければ分からないものです。政治とは人間同士の関係ですから、日ごろの人間観察が重要になってきます。現場リーダーはプロジェクトのタスクを前に進めるだけではなく、プロジェクト周辺の人間関係にも目を光らせる必要があるのです。

 次に、組織の力学を理解し、それを生かすための振る舞い方の一例を見てみましょう。

決裁権者とキーパーソンは違う… 続きを読む

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連載記事≪システム構築のための調整力向上講座≫

執筆=芝本 秀徳

執筆=芝本 秀徳プロセスデザインエージェント代表取締役

プロセスコンサルタント、戦略実行ファシリテーター。品質と納期が絶対の世界に身を置き、ソフトウエアベンダーにおいて大手自動車部品メーカー、大手エレクトロニクスメーカーのソフトウエア開発に携わる。現在は「人と組織の実行品質を高める」 ことを主眼に、PMO構築支援、ベンダーマネジメント支援、戦略構築からプロジェクトのモニタリング、実行までを一貫して支援するファシリテーション型コンサルティングを行う。

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