変革する“報連相(ほう・れん・そう)”のカタチ(第8回)

コミュニケーション効率も上げる名刺管理システム

2017.03.01

クリップについて

 名刺に印刷されている相手の名前や連絡先、役職などの情報は、企業にとって将来にわたって活用できる貴重な情報資産だ。名刺情報をデジタル化して社内で共有し、効果的に活用すれば、業績向上の大きな力になる。

 そのためには、どうアプローチすればよいのだろうか。まず第一歩は、個人で収集した名刺情報をどのように集約し、どこに格納しておくのかを決めることだ。情報を管理するデータベースの格納先としては、自社のサーバーだけでなくクラウドサービスも選択肢に入れたい。

 クラウドベースの名刺管理サービスは、最近多くの企業が提供し注目されている。初期投資を抑えられ、気軽に始められるのが大きなメリットといえる。しかもネットワーク上に情報を置いておくことで、活用の幅が大きく広がる。

 紙の名刺情報のデジタル化は、各種サービスがさまざまな方法を用意している。専用のスキャナーを使って情報を読み取る方法もあれば、スマートフォンで撮影して取り込む方法もある。集まった画像情報も、自動で文字として解析するOCR機能で取り込む場合もあるし、サービス提供者側がチェックして補正するサービスもある。撮影してアップロードする手順はほぼ変わらないので、どのくらい正確なのか、どれくらい時間や費用がかかるのかが選択のポイントになる。

 名刺管理システムを選択する際に大事なのは、どれだけ簡単にデジタル化できるかという手軽さだけではない。デジタル化された名刺情報を、どう活用するのかという視点が重要だ。名刺情報の共有や活用で業務効率や営業成績に効果が出れば、名刺をデスクの中にため込むこともなくなっていくはずだ。

名刺管理システムあれこれ

 例えば、クラウドベースの名刺管理システムを手掛けるSansanでは、法人向けの名刺管理サービス「Sansan」と、個人向けの名刺管理アプリ「Eight」という2種類のサービスを提供している。法人向けのサービスでは、ビジネスに役立つ多くの付加機能がある。市販のデータベースサービスと連動して、会社名や人物情報を照合したり、組織図に合わせた人脈ネットワーク図などを自動生成したりできる。

 個人向けのサービスはシンプルだ。取り込んだ名刺情報を検索したり、メッセージを送ったりできるが、他のシステムとの連携はそれほど重視されていないようだ。有料会員になれば、登録した名刺情報を二次利用可能な形式のデータでダウンロードできるため、営業リストの作成などに活用が可能だ。

 「SmartVisca」は、営業支援システム「Salesforce」専用の名刺管理サービスだ。取り込んだデータは、Salesforceで活用するのが前提で、営業情報とデータを一元管理できるのが特長だ。

名刺情報の活用でワークスタイルも変わる

 上記のような名刺管理専用サービス以外に、ビジネスコミュニケーションツールの機能を活用する方法もある。例えば、NTT西日本が提供する「スマート光ビジネスUC」。もともと電話やメール、チャットなどのコミュニケーションツールを1つに統合したソリューションだが、昨年12月に名刺管理機能がバージョンアップされた。このサービスの特長は、必要な機能だけに絞り込んでいるところ。1IDで月額350円(税抜)(※1)から始められる。

 スマートフォンの専用アプリなどで名刺を撮影すれば、名刺情報はクラウド上のアドレス帳に自動で登録される。このクラウドアドレス帳は、アカウント保有者であれば多様なデバイスから閲覧・編集できる。登録した時点で情報が社内で共有され、スマートフォン、タブレット、ノートパソコン、デスクトップパソコンから使える。クラウドアドレス帳を使って電話をかけたり(各種発信機能)(※2)、メッセージを送ったりと、各種コミュニケーションが連動する。

 スマート光ビジネスUCには、会社(自席)に着信した電話を、スマートフォンへ転送できる機能がある。転送着信ポップアップ機能(※3)と呼ばれるものだが、名刺情報をクラウドアドレス帳に登録しておけば、スマートフォンの画面には相手の名前が表示される。外出中でも、会社にかかってきた電話を転送して受けられる。オフィスを不在にしているからといって電話を取り逃がしたり、掛け直しの手間が生じたりが減るわけだ。

大切な情報。リスク管理にもご注意

 名刺情報を共有して活用しようとすると、ついシステムの使い勝手や手軽さに注目しがちだ。しかし、名刺情報はたとえ1件であっても個人情報保護法の対象となる。従って情報漏えいのリスクについては、十分に注意しなくてはならない。情報の流出や盗難を防ぐセキュリティーの確保は必須だといえる。

 前述のスマート光ビジネスUCの名刺管理機能では、名刺情報を蓄積したアドレス帳はクラウド上に保存される。この情報は端末側では閲覧しているだけなので、スマートフォンなどに情報は残らない。万が一端末を紛失したとしても、データ流出のリスクを抑えられる。管理者側からシステムの利用を停止させるのも可能だ。端末を紛失した際に速やかにアカウントを停止すれば、第三者に悪用されるリスクが低減できる。

 名刺情報を共有して営業活動で成果が出るまでにはある程度時間がかかるものだ。それを待てずに挫折し、効果を実感せず立ち消えになるケースは少なくない。こうした落とし穴にはまらないためには、すぐにメリットを社員が感じられるようにするのがポイントになる。その観点からいうと、クラウドアドレス帳との連動によるコミュニケーションの効率アップは非常に分かりやすいだろう。

 

※1 別途、初期費用および「フレッツ 光ネクスト」等の契約・料金が必要
※2「各種発信機能」の利用は、別途サーバーと連携可能な「SmartNetcommunity αA1」と設定が必要
※3 「転送ポップアップ機能」の利用は、別途サーバーと連携可能な「SmartNetcommunity αA1」と設定が必要

SID : 00047008

執筆=高橋 秀典

執筆=高橋 秀典

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