定型業務の支援サービス最前線(第2回)

自動化はまだ先。通訳サービスの実情

2016.12.21

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 近年、訪日外国人観光客(インバウンド)の増加が目立ち、2020年には年間4000万人が訪れると予想される。そこで需要として急浮上してきたのが、多言語対応の通訳・翻訳サービスである。昨今注目されているスマートフォンを使った自動翻訳から窓口アウトソーシングまで、通訳・翻訳サービスの実情を紹介する。

訪日外国人観光客の課題はコミュニケーション

 総務省・観光庁が実施した「日本滞在中に困ったこと」という調査によれば、訪日外国人の36%が「施設等のスタッフとコミュニケーションがとれない」と回答している(「訪日外国人旅行者の国内における受入環境整備に関する現状調査」から)。このことからインバウンド市場は拡大しているにもかかわらず、多くの店舗や企業が多言語対応できないためにビジネスチャンスを逃している可能性があると分かる。

 2015年のインバウンド消費は、前年比71.5%の3兆4771億円となっており、インバウンド市場はさらに拡大すると見込まれている。多言語対応が進めば、日本への観光をためらっていた外国人が訪日するようになる。総務省の「2020年に向けた社会全体のICT化推進に関する懇談会 幹事会」では、「訪日外国人に対する情報の配信や接客の向上等によって、将来的に年間2541億円の効果が見込まれる」と報告されている(※)。

 この需要を取り込むためには多言語を話せる人材が必要なのは分かっているが、中小規模の店舗や施設が、独自にバイリンガルな人材を確保するのは難しい。こうした背景の中で、今注目を集めているのが、ITを活用した多言語音声翻訳ツールである。

 特に注目されているのが、スマートフォンやタブレットに話しかけるだけで自動翻訳できる多言語音声翻訳ツールだ。例えば、情報通信研究機構(NICT)が開発した音声翻訳アプリ「VoiceTra」や、NTTドコモが提供する「はなして翻訳」などが、その代表例だ。VoiceTraは30言語、はなして翻訳は10言語(2016年12月15日現在)に対応しており、いずれもアプリは無料で利用できる。

 多言語音声翻訳ツールは将来的な普及が見込まれており、旅行で使われる短いセンテンスの定型文ならば、かなりの精度で翻訳できる。しかし、同じ言語でも発音やイントネーションの違いで翻訳精度が落ちたり、処理に多くの時間がかかってしまったりすることもある。そのためすべての場面で利用できるわけではない。

進むIT活用。だが対応には限界がある… 続きを読む

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執筆=井上 隆文

執筆=井上 隆文

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