IT時事ネタキーワード「これが気になる!」(第52回)

Google量子超越性実証でビットコインなぜ下がる

2019.11.22

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 米グーグルが10月23日(現地時間)、量子コンピューターの「量子超越性」を実証したと発表。論文は英ネイチャー誌に掲載された。世界最高のスーパーコンピューターで1万年かかる計算を、たったの200秒で解いたという。量子超越性とは、量子コンピューターが従来型のコンピューターを追い越し、成り代わるニュアンスだ。

 このニュースで世界は騒然となり、IBMの反論(後述)も話題になった。中でも大きく取り上げられたのは、ビットコインの価格の急落だ。以前から量子コンピューターがビットコインを滅ぼす、といわれていた。実際、グーグルの発表を受けて、ビットコインは約5カ月半ぶりの低水準となった。

そもそも量子コンピューターとは。グーグルの発表、何がすごい?

 従来のコンピューターは、情報をオン(1)とオフ(0)のいずれかを表す「ビット」を基本単位とし、0と1で構成された2進数ですべての計算をする。これは電圧のオン・オフを切り替えて行われる。現在、コンピューターで扱うテキストも写真も音声も動画も、すべてのデータが0と1でできている。

 こうした従来のコンピューターは一度に0か1、どちらかの値1つしか示せない。だが量子コンピューターは、量子力学という物理の力を利用し、値を「重ね合わせ」、同時に2つ以上の値を表せる。飛躍的にポテンシャルの高い計算が可能となるというのだ。

 かつてスーパーコンピューターで行っていた計算が、今はスマホでできてしまう。ただし、0と1のビットで表す基本原理には変わりはない。量子コンピューターの登場で、とんでもない革新が起きる。

 今回、最先端の従来型スーパーコンピューターで1万年かかる計算を、グーグルが開発した53量子ビットを持つ「Sycamore」(シカモア)プロセッサーは、200秒で計算した。この計算力は天文学的というか、想像を絶する値だ。

 例えばこのところ、社会に普及しつつあるAI。囲碁やオセロで人間を打ち負かすが、ビッグデータを分析して未来を描き出したり、近々起こる災害を予測して被害を未然に防いだり、学習や経験を積み人間の代わりになったりするには、今のコンピューターでは追い付かないといわれている。さらに、IoT、高精細・高ビットレート方向のメディアの現況を考えるに、従来のコンピューターでは性能が頭打ちな面もある。

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執筆=青木 恵美

執筆=青木 恵美

長野県松本市生まれ。独学で始めたDTP(パソコンによる机上出版)がきっかけで、IT関連の執筆を始める。執筆書籍は『Windows手取り足取りトラブル解決』『見直すだけで安くなる、スマホおトク術』など20冊あまり。Web媒体は日経XTECH、日経トレンディネットなど。日経XTECHの「信州ITラプソディ」は、2008年より10年にわたって長期連載した人気コラム(現在でもバックナンバーあり)。日経パソコン、日経PC21、日本経済新聞などに多く執筆。現在は、日経PC21に「青木恵美のIT生活羅針盤」、日経パソコンに「ちょっと気になるITアラカルト」を好評連載中。

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