IT時事ネタキーワード「これが気になる!」(第56回)

新型コロナウイルス感染拡大、IT業界に波紋

2020.02.21

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 新型コロナウイルス(「COVID-19」「新型肺炎」)の話題で持ち切りだ。国内でも感染例が数十例に及び、2月14日には国内で初めての死亡者が確認された。脅威は身近に迫っている。

 新型コロナウイルスは、中国で発生した感染症で、事態は刻々と変わっている。最新情報や対策は、厚生労働省の「新型コロナウイルス感染症について」を参照するとよい。

 ニュースでは閑散とした中国の街、防護服やマスクを着けた人々の姿が映し出される。中国の工場は一時停止。人々は家にこもり、病院は患者であふれる。日本では、観光客の激減した観光地の情景がテレビで流れる。感染を恐れて、人の集まる場所が敬遠され、イベントが中止になる。人々の動きが鈍っている。

 世界人口が77億、そのうち約2割の14億人が中国人だ。日本は1億人半ば、米国は3億あまり、ヨーロッパはおおよそ7億で、足しても中国には及ばない。日本や米国、ヨーロッパの企業では、企画や設計は国内、生産は中国という態勢を取ってきた。ここ数年では、中国は国力を増し、IT分野でも先進国となり勢いを増しつつある。

グーグルが中国の事務所一時閉鎖。アマゾン、アップルも

 グーグルやアマゾン、アップルなどが中国の事務所やストアを閉鎖したニュースが1月末に流れた。各企業、各国政府が、中国に滞在する人に帰還を呼びかけ、チャーター機などで帰国させた。わが国でも、武漢市に残る日本人の帰国希望者が先日、チャーター機で帰国した。

 中国では感染拡大防止のため、工場などが一時閉鎖・休業に追い込まれた。その余波で日本国内でも、部品不足で製造ラインを停止して生産調整を行わざるを得ない事態も発生している。

 先日、スペイン・バルセロナで2月末に開催予定の世界最大の通信関連見本市「モバイル・ワールド・コングレス(MWC)」に中国のIT企業が相次いで出展や参加を見送るニュースが流れたが、間もなく、コロナウイルスに関する懸念を理由に、開催自体中止になった。

 MWCに続き、アジア最大級のカメラ展示会「CP+2020」など、世界的な展示会や見本市が次々と取りやめになった。経済効果にとどまらず、先進技術の発展にも影響を与えかねない。

ハードウエア製造は中国依存。高まるテレワークの必要性

 コロナウイルスの感染源や感染経路は明らかにはされていないが、患者からの飛沫感染、ウイルスに汚染された環境にふれる接触感染なのは明白だ。特に都市部の通勤による混雑は、大きな脅威となる。今後の状況によっては、通勤や出勤を避けたテレワークも有効対策になる。現に、NTTグループやドワンゴ、ヤフージャパン、GMOなどで在宅勤務の動きが始まった。20万人の従業員を抱えるNTTグループがテレワークにかじを切り、各企業がこの動きに追随することも予想される。

 現時点の新型コロナウイルスの感染者は、14日間の健康状態の観察が推奨される。大切な社員が、隔離や自宅待機などの事態になる可能性もある。テレワークによる作業以外にも、ビジネスチャット、テレビ会議など、連絡、打ち合わせ、会議手段の整備も必要だ。

 生産拠点の中国の打撃もあり、IT機器の品不足や値上がりが想定される。テレワーク環境の整備など今後の対策は早めに行うに越したことはない。なお、テレワークには情報漏えいやハッキングに対するセキュリティ対策が必須だ。社員教育も行わなくてはならない。

適切なサイトから情報収集。買い占めはしない

 感染症の状況や対策について根拠のない情報やデマを信じることなく、正しい情報を得て正しく行動するのが重要だ。世界保健機関(WHO)はソーシャルメディア企業と協力して、誤報の拡散を防止し、リスクを軽減するという。

 情報の取得は、基本的に、厚生労働省首相官邸国立感染症研究所、自分の住む自治体のホームページなどの公的情報を確認するのがよい。SNSなどの不確定な情報をむやみに信じたり、無作為に拡散したりしないことが大切だ。

 行動の際には、行動に関連するイベント、交通機関、施設などの公式情報をインターネットなどで事前にチェックするのを心掛けよう。マスクや消毒薬などの対策グッズは譲り合い、買い占めなどしないように。オークションやフリマでの高額出品もやめよう。今後必要となるIT機器をはじめ、すべての物資に関しても同様だ。

 国内でもすでに市中感染が拡大しつつあるという話もある。異状が見られたときには、しかるべき相談窓口に速やかに相談しよう。新型コロナウイルス感染症情報のLINE公式アカウントを友だち追加しておくと役立つ。1人ひとりの正しい情報把握と行動が、今後の未来に影響する。慎重な判断と行動を心掛け、今後に備えよう。

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執筆=青木 恵美

執筆=青木 恵美

長野県松本市生まれ。独学で始めたDTP(パソコンによる机上出版)がきっかけで、IT関連の執筆を始める。執筆書籍は『Windows手取り足取りトラブル解決』『見直すだけで安くなる、スマホおトク術』など20冊あまり。Web媒体は日経XTECH、日経トレンディネットなど。日経XTECHの「信州ITラプソディ」は、2008年より10年にわたって長期連載した人気コラム(現在でもバックナンバーあり)。日経パソコン、日経PC21、日本経済新聞などに多く執筆。現在は、日経PC21に「青木恵美のIT生活羅針盤」、日経パソコンに「ちょっと気になるITアラカルト」を好評連載中。

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