IT時事ネタキーワード「これが気になる!」(第63回)

脱・ハンコ。自由な働き方各省庁も新しい動き

2020.07.14

クリップについて

 テレワークには、ICT(情報通信技術)の利用が必須だ。時間や場所を有効に活用できる柔軟な働き方は、ICTなしには実現しないといってもいいくらいだ。コロナ禍による外出自粛などでテレワークを余儀なくされたが、緊急事態宣言解除後もテレワーク継続を進める企業が増えている。

 例えばTwitter社は、従業員が望めば永続的に在宅勤務を継続する。ドワンゴは全社員を在宅勤務に、富士通グループは緊急事態解除後も在宅ワークを基準としてオフィスへの出勤率を最大25%に抑える。NTTグループは2020年6月以降も、在宅勤務を5割以上にする方針を発表した。

 内閣府から6月21日に出された「新型コロナウイルス感染症の影響下における生活意識・行動の変化に関する調査」によれば、全国のテレワーク実施率は34.6%。テレワーク実施率が約半数と高い東京圏居住者の通勤時間が減少し、今後もその状況を保ちたいとの回答は約7割に及んだ。

 毎日の通勤は苦痛ともいえる。テレワークなら普段の通勤にかける時間やコストを有効活用できる。「意思疎通が難しい」「労働時間の管理や評価が困難」などの課題はあるものの、次第に解決のノウハウはたまってきている。今後も、テレワークを生かす新しい試みは活発化するはずだ。

 ところが、コロナ禍でのテレワークで問題になったのは「ハンコ」。書類にハンコを押すためだけに、会社に出勤するケースが多く見られた。そもそもハンコ1つの作業のために感染拡大の危険を冒して出勤する必要があるのか、その是非が問われた。

脱ハンコ、コワーキングスペースなど新しい動き。総務省も動く

 以前、ハンコというものは、実は法律的には効力がないと聞いたことがある。実印や銀行印は別として、日常的に使う書類から契約書まで、押印はただの習慣と化している感は否めない。ただ、一方で押印のない書類は、見た目も頼りなく違和感はある。テレワークにおいて押印は、かなり“難関”なのは間違いない。

 そのあたりはエクセル書類に電子ハンコが押せる「Excel電子印鑑」やワードなどに押せる「クリップスタンプ」などのフリーソフトがなかなか使える。画像ベースではあるが文字に重ねて押せて見栄えも上々。実際、筆者もこうした方法で「青木」のハンコを作って多くの書類に活用し、同時にやはりハンコが習慣なのを実感した。

 2020年6月19日、総務省から「押印についてのQ&A」が出されているので、参考にするとよい。これによれば「特段の定めがある場合を除き、契約に当たり、押印をしなくても、契約の効力に影響は生じない」とある。認め印の場合は「立証が困難」と述べ、代わりの措置として、本人確認情報の記録・保存、文書や契約上の成立過程(メールやSNSなどのやりとり)の保存などで立証手段を確保する方法や、電子署名や電子認証サービスの活用を推奨している。

自由な働き方の新しい時代を展望

 ハンコに関しては、筆者のようにフリーソフトや画像での代用で処理する方法もあるが、それだとなりすましが可能となるので、会社で表立って認めないケースが多い。やはりその人が確かに閲覧した・認めたという証明を得られるものが理屈には合うし効率もよい。総務省の記述にもある、電子署名や電子認証サービスの導入がオススメだ。例えばシヤチハタの「パソコン決裁Cloud」、ワンビシアーカイブズの電子契約サービス「WAN-Sign」、大興電子通信の「デジタル購買管理」などがある。

 テレワーク全般に関しては、総務省の「テレワーク情報サイト」にあるガイドラインや各種ガイドブックを参考に、今後の方向を探るとよいだろう。

 総務省のガイドラインにもあるが、テレワークには在宅勤務以外に、メインのオフィスではなく郊外の住宅地に近接した地域の小規模オフィスなどで業務に従事する「サテライトオフィス勤務」、ノートパソコン、スマホなどを活用して臨機応変に選択した場所で業務に従事する「モバイルワーク」が含まれる。街中のコワーキングスペースや、駅や街角にコイン1つですぐに使える小型のシェアオフィス、リゾートホテルや温泉などのレジャー施設にもコワーキングコーナーが拡充されれば、さらに自由な働き方が実現すると思う。

 今はまだコロナ禍で自由に動けない状態が続くが、こうした事態が収まってもテレワークは続く。未来のために自身でもノウハウを培っていく意識を持ちたい。

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執筆=青木 恵美

執筆=青木 恵美

長野県松本市生まれ。独学で始めたDTP(パソコンによる机上出版)がきっかけで、IT関連の執筆を始める。執筆書籍は『Windows手取り足取りトラブル解決』『見直すだけで安くなる、スマホおトク術』など20冊あまり。Web媒体は日経XTECH、日経トレンディネットなど。日経XTECHの「信州ITラプソディ」は、2008年より10年にわたって長期連載した人気コラム(現在でもバックナンバーあり)。日経パソコン、日経PC21、日本経済新聞などに多く執筆。現在は、日経PC21に「青木恵美のIT生活羅針盤」、日経パソコンに「ちょっと気になるITアラカルト」を好評連載中。

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