偉大な先人に学ぶ日本ビジネス道(第28回)挫折のたびに立ち上がるヤンマー、山岡孫吉の着眼点

雑学

公開日:2018.09.20

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 1959~2014年まで55年間にわたってテレビで放送された気象情報番組、「ヤン坊マー坊天気予報」を覚えている方も多いでしょう。「ヤン坊マー坊」は、発動機、農業機械、建設機械、小型船舶の製造・販売を行う総合機械メーカーのヤンマーの販促キャラクターです。そして、ヤンマーを創業したのが山岡孫吉です。

 孫吉は1888年、滋賀県伊香郡に7人兄弟の6番目として生まれました。実家の農作業を手伝いながら成長した孫吉少年は、16歳の時に「1万円の大金をためてみせる」と決意し、大阪に奉公に出ます。

 夢を抱いて大阪に出た孫吉でしたが、どうにも奉公が長続きしません。メリヤス屋、せっけん屋、木綿問屋、写真の台紙屋、鉄工所など職を転々とします。そして2年ほどがたった頃に体調を崩し、大阪にいた長兄・栄太郎の家でしばらく静養することになりました。孫吉、1度目の挫折です。

 しかし、この静養が思わぬ転機になりました。孫吉は気分転換のため、時々堂島川に釣りに出掛けました。川の近くには大阪瓦斯(現・大阪ガス)の作業事務所があり、作業員たちと話を交わすようになります。そこで親しくなった現場監督に雇ってほしいと願い出てみると、受け入れられ、採用が決定しました。当時、大阪ではガスの供給開始が間近に迫っており、それに伴うガス配管工事が盛んに行われていたためです。

 こうして働き始めた大阪瓦斯で、孫吉はガス発動機と出合います。当時、工場では主に蒸気機関を動力として使っていました。そこにガスの供給が始まったため、ガス発動機の導入が始まったのです。ガス発動機は設置するにも蒸気機関のように広いスペースを必要とせず、操作も簡単だったことから、町工場が次々に購入しました。孫吉は、ガス配管工事だけでなく、ガス発動機の設置も行うようになったのです。

 ただ、大阪瓦斯の工賃だけでは目標とする「1万円の貯金」には届きそうにありません。そこで、孫吉は、ガス工事の経験を元に独立を決意しました。ゴム管・ガス器具の販売、ガス発動機の据え付け工事などを請け負う山岡瓦斯商会を1907年に開業したのです。

ガス発動機事業を拡大するも2度目の挫折へ…

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