新規事業に挑戦!(第13回)音で世界の人々を幸せにする「ミライスピーカー」

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公開日:2017.06.19

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難聴者にも聞こえやすいスピーカー

 蓄音機の原理を生かし、難聴者でも音が聞こえやすくなるスピーカー「ミライスピーカー」を開発したサウンドファン。約2年間の試行錯誤の後、2015年10月より1号機「ミライスピーカー・ボクシー」の一般販売を開始し、その後、2017年3月に2号機「ミライスピーカー・カーヴィー」、さらに4月には1号機をバージョンアップさせた「ミライスピーカー・ボクシー2」と新製品を次々に発売しています。

 16年4月には内閣府により定められた「障害者差別解消法」が施行され、行政の機関や民間企業などの事業者は障がい者に対して差別防止に努め、「必要かつ合理的な配慮」が義務付けられました。これにより、公的機関や一般企業でも障がい者の負担防止について関心が高まっています。

 サウンドファンは難聴者だけでなく、一般企業に向けてもミライスピーカーを認知してもらい、音の分野で世の中に貢献することをめざしています。

【社  名】 サウンドファン
【事業内容】 ミライスピーカー事業、コンフォートオーディオ事業
【設  立】 2013年10月
【本  社】 東京都台東区浅草橋
【資 本 金】 3億670万円(資本準備金含む)
【従業員数】 約20人

蓄音機の仕組みにヒントを得てスピーカーを開発

サウンドファン
代表取締役 佐藤和則(さとう かずのり)氏
1956年福岡県生まれ。中央大学卒業後、富士ゼロックス、サンマイクロシステムズ、デルコンピュータ(個人営業部長、法人営業本部長、カスタマーサービス本部長)、アスクル(新規事業開発VP)などに勤務。趣味はクルマ、船、軽飛行機の運転・操縦と大の乗り物好き。また週末にはドラムをたたく音楽愛好家でもある

 音響の世界には全く無縁だったという佐藤和則社長が難聴者向けのスピーカーに興味を持ったのは13年、名古屋学院大学でリハビリテーションの研究をしている教授と会ったのがきっかけでした。その教授は音楽療法も手掛けており、家には蓄音機のコレクションが多数あったそうです。教授は佐藤社長にこんな話をしました。

 「近所のご老人を集めてオーディオスピーカーから音楽を聴かせても、老人性難聴の人たちはあまりよく聞こえない。でも、蓄音機の音ならよく聞こえるんですよ」

 佐藤社長はこの話に興味を持ち、なぜ蓄音機だとよく聞こえるのかと研究してみたところ、どうやら「曲げる」ことがポイントであると気付きました。

 「原理は非常にシンプルです。詳細のメカニズムはまだ解明されていませんが“蓄音機の金属管の曲面に秘密があるのでは”と直感し、楽器はいずれも側板などが曲面でできていることから“楽器スピーカー”というイメージで作ればよいのではないかと考えました」と佐藤社長。すぐに試作機を製作し、84歳の父親に音を聞いてもらいました。

 「父は中度から重度の老人性難聴で、9年ほど補聴器を使って生活していました。試作機を実家に持っていき、テレビのジャックに挿して実験してもらいました。すると、健康な私の耳で聞いてもうるさくない程度の音量で、補聴器を外しても聞こえるというのです」と佐藤社長は話します。

 この結果に手応えを感じ、「これは効果があるな」「難聴者の役に立てるかもしれない」と確信し、スピーカーを開発製造するためにサウンドファンの設立を決意しました。

介護施設や金融機関など法人ニーズにも応える…

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執筆=森部 好樹

1948年佐賀県生まれ。東京大学を卒業後、旧日本興業銀行に入行。香港支店副支店長などを経て興銀証券へ出向。ビックカメラで取締役を務め、2002年、格安メガネチェーン「オンデーズ」を設立し社長に。2007年共同広告社に移り、2008年同社社長に就任。2013年に退社して独立し、顧問業を専門とする会社、ロッキングホースを創業。現在代表取締役。

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