強い会社の着眼点(第8回)

目で見る管理。プロは現場・社員を見る

2020.02.19

クリップについて

 長時間の残業と聞くと、ブラック企業の労働環境が思い浮かぶ。しかし、しばらく前までの日本では、残業は残業手当をもらうための半ば想定内の労働の一面があった。集団で仕事をするケースが多い業務形態では、上司や同僚よりも明らかに早く帰宅するのははばかられる状況だったのも事実だ。「働き方改革だから残業はしないで早く帰りましょう」と言われても、おいそれと早帰りできない。

 そうこうしているうちに、2020年4月には働き方改革関連法の時間外労働の上限規制、すなわち残業規制が中小企業にも導入される。月45時間、年360時間を原則とする規制にきちんと対応するには、実際の労働時間を経営者が把握しておく必要がある。

労働時間の客観把握が義務化、PCだけでは対応できない抜け穴

 働き方改革関連法の労働安全衛生法では、労働時間の客観的な方法による把握が義務化された。従業員の自己申告による出勤簿の出退勤記録だけでは、客観的な方法とは認められない。タイムカードによる出退勤時刻や、入退室時刻の記録、パソコンの使用時間の記録などによって客観的な労働時間を把握しなければならないのだ。

 タイムカードや、パソコンの使用状況で、”把握”に対応できたとしても、それだけでは本質的な働き方改革とはならない。自主的か強制的かは別として、従業員がタイムカードを打刻した後や、パソコンの電源を切った後に残業をするケースもある。経営者や監督者としては、そうした状況を見逃してはならない。

 本来は店舗やオフィスを誰かが見回って、きちんと退勤させるように仕向ければよい。しかし、多拠点で営業するような業態では、見回りのコストや手間も大きな負担だ。遠隔でも店舗やオフィスの労働状況の“可視化”ができると、管理自体も効率的になる。

●労働時間の的確な把握と“可視化”

社員の働き方を客観視する手法

 上限を超える残業ができてしまう抜け穴をふさぐ1つの方法に、店舗やオフィスを「目で見る」映像の利用が挙げられる。

 カメラはそのまま、店舗やオフィスの可視化ツールとなる。タイムカード打刻機やパソコンなどをだまして残業を続けても、カメラが人の目の代わりに見張っていれば、実態を把握できる。無断の超過残業をやめるように指導し、改善につながれば、働き方改革に一歩ずつ近づく。ネガティブな要素だけではない。噂では「あまり働かない」とされる社員が、もくもくと努力する姿が映像に映し出されていれば、経営者はその頑張りに気付ける。

 とはいえ、大仰な監視カメラシステムを導入するのは、技術面でもコスト面でも負担が大きい。だが、最近は手軽に導入できるクラウド型のカメラサービスが登場している。こうしたサービスを利用する形ならば、機器購入や大掛かりな配線を張り巡らせなくても、パソコンやスマートフォンからいつでもリアルタイム映像や、時間を遡った映像を確認できる。多拠点展開している場合でも、経営者は自宅や出先からスマートフォンで複数の店舗やオフィスの様子をうかがい知れるのだ。

働き方改革に加えて不正や犯罪からもビジネスを守る

 カメラを用意して店舗やオフィスの「目で見る管理」の実現は、働き方改革への貢献にとどまらない。さまざまな課題への対処につながる。店舗のレジ回りをカメラで撮影しておけば、万が一にもレジ強盗などの犯罪に遭った場合に、状況の把握ができる。レジの間違いや不正を検証する情報としても利用できるほか、こうした不正の抑止力になるのも言うまでもない。

 従業員が働く店舗やオフィスを監視すると考えると、労使の信頼関係に悪影響が懸念される。しかし、映像で仕事環境を可視化するIoT(Internet of Things)ツールの1つとして捉えれば、カメラの導入も納得してもらいやすくなる。可視化しなければ、従業員を守る対策すら打てないからだ。そのためにも、手軽に始められるクラウド型カメラサービスで、遠隔でもできる目で見る管理の体制を構築していきたい。

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執筆=岩元 直久

執筆=岩元 直久

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