懐かしのヒット商品(第11回)ガリガリ君の進撃はクレームから始まった

雑学

公開日:2017.09.19

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 1981年の発売から30年以上にもわたってロングセラーを続けてきた「ガリガリ君」。かき氷をスティックタイプにした氷菓で、丸刈りの男の子が大きな口を開けてアイスを食べているパッケージになじみがあります。

 ガリガリ君の年間販売実績は2010年に3億本。2012年にはなんと4億本突破という記録を残しました。ほぼ横ばいということが多い氷菓市場では、驚異的な上昇率です。その要因は、ガリガリ君というガキ大将キャラクターを活用したプロモーション戦略によるものでした。

クレームからのスタートながら救世主に

 ガリガリ君を製造している赤城乳業の歴史は、常に順風満帆であったわけではありません。ガリガリ君は、同社が窮地のときに誕生した商品でした。

 同社は、1964年にカップ入りかき氷「赤城しぐれ」を発売します。当時、かき氷は店で食べるのが当たり前でした。そのため、予想を超えるヒット商品となります。

 しかし1979年、第二次オイルショックのあおりで生産コストが上昇し、同社を含めた多くの氷菓メーカーが製品を値上げしました。ところが、一部の大手メーカーが価格を据え置いたため、主力商品である赤城しぐれの売れ行きは激減。工場ラインは停止寸前にまでなり、倒産の危機が訪れます。その中、起死回生の商品として登場したのがガリガリ君でした。

 ガリガリ君は、赤城しぐれをスティックタイプにするというアイデアから生まれました。片手で持てるスティック式にすれば、遊びに夢中になっている子どもが手軽に食べられ、ヒットするのではという狙いがあったのです。

 当時、スティックタイプのアイスキャンディーは商品化されていましたが、かき氷はありませんでした。最初のガリガリ君は、かき氷をゼリー状に固めた商品として発売されます。ところが、包装袋の中でバラバラになるというトラブルからクレームが多発します。

 赤城乳業はこのトラブルを、薄いアイスキャンディーの膜の中に、かき氷を入れるという技術革新でブレイクスルーを実現します。技術革新による新しい食感と味わいをつくり出し、ガリガリ君はクレーム多発から一転、大人気商品となりました。

「気持ち悪い」といわれたキャラクターの再生劇…

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執筆=味志 和彦

佐賀県生まれ。産業技術の研究者を経て雑誌記者など。現在コラムニスト、シナリオライター。

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