ビジネス課題を創造的に解決するデザイン・シンキング(第11回)

積水ハウスに学ぶ“草の根プロジェクト”の運営法

2017.11.07

クリップについて

 デザイン・シンキングを進める企業の中には、社内で正式に承認されないまま、まずは意欲ある社員たちがボランティアとして“草の根”的にプロジェクトを運営するケースが少なくない。これをスムーズに実行するには、単に意欲の有無だけではなく、通常業務に支障がないように社内ルールを守ることができるメンバーを選ぶ必要がある。活動自体が面白くてワクワクする、いわば「部活」のような雰囲気があれば、メンバーが集まりやすい。

育児や家事はもちろん、美容などにも積極的な若い主婦向けの空間を間取りに設けた積水ハウスの「イマドキmamaの家」。社内で正式な承認を得ていないプロジェクトなので、既存の拠点を改装する際に建ててしまったという

 デザイン・シンキングを活用したことによる実績が出れば、経営トップからも注目されやすい。だが結果が出るまでには、デザイン・シンキングに関心のある一部の社員たちがボランティアとしてプロジェクトを運営するケースが少なくない。とはいえ、社内的に承認されていないプロジェクトであれば、通常業務と並行して手がける必要があるし、夜間や休日などにワークショップなどを行えば、メンバーに多くの負担がかかるだろう。そんな状況でも通常業務を確実に処理し、社内に迷惑をかけないようにしないと、せっかくのプロジェクトが潰されてしまいかねない。

 積水ハウスで、こうした“草の根プロジェクト”を運営する設計部・大阪設計室の畠井嘉隆部長は、独自のさまざまな工夫を加えて成功に導いた。その結果、2012年には若い主婦層の「ギャルママ」をターゲットにした賃貸住宅「イマドキmamaの家」を販売できたほか、15年10月には1階部屋を「1戸建て」感覚で生活する新しい賃貸住宅の提案につながった。この住宅は竣工後、約1カ月で買い手が決まるほどの人気商品だ。いずれも社内のボランティア社員などとワークショップを重ねたり、生活者の行動観察などを行ったりして、その内容を間取りに反映し設計したものである。

通常業務に支障があれば降りてもらう… 続きを読む

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連載記事≪ビジネス課題を創造的に解決するデザイン・シンキング≫

執筆=日経デザイン編集部 大山 繁樹

執筆=日経デザイン編集部 大山 繁樹

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