視点を変えて可能性を広げるITの新活用術(第1回)

セキュリティーカメラが業績向上に威力を発揮?

2017.03.22

クリップについて

 オフィス、工場、店舗など業務施設に設置されるカメラの一番の利用目的は防犯だ。物流事業者や小売事業者は倉庫や店舗にセキュリティーカメラを設置して、盗難に備えているケースが多い。多くのオフィスビルにおいても不審者対策としてカメラを設置し、管理センターでチェックしている。

 最近では、こうした外部からの脅威を排除する目的以外にセキュリティーカメラを活用するケースが出てきている。カメラから得られる情報を活用して、業績向上に生かそうとする取り組みが増えているのだ。

幅広い業種でカメラの活用が始まっている

 例えば飲食業で店舗にカメラを設置する目的は、店内のモニタリング。まずは、来店客とのトラブル監視や防止、さらには従業員による不正行為の監視や防止などに記録映像を利用する。

 こうした防犯面だけではなく、従業員と来店客とのやり取りを記録した映像によって、接客の改善点を指導し、サービスの向上を図るケースも出てきている。社員教育面での活用だ。顧客とのトラブルがあった場合も、その映像を証拠として使うだけでなく、よりよい対応を考える教材にする。

 チェーン展開している店舗では、カメラを通して本部から遠隔で各店舗内の状況を把握することに使う例もある。商品の売れ行きや従業員の対応をリアルタイムにチェックするといった使い方だ。カメラを犯罪やトラブルの防止といったリスク対応に使うのではなく、顧客満足度の向上というプラス面に活用するのだ。

 さらに、もっとマーケティングに踏み込んだカメラの活用法もある。店舗に設置したカメラを通して、集客状況を見られるようにするだけでなく、来店客の行動を分析。その傾向に合わせて商品を陳列し、売り上げの向上を図るといった使い方だ。

 こうしたカメラを防犯以外の目的で使う潮流は、店舗など来店客を迎える業種・業態に限らない。メーカーの工場では、製造工程にカメラを設置しモニタリングすることで、クオリティーの向上を図ったり、生産効率の向上に生かしたりするケースも出てきている。

 例えば、ある食品加工会社では、生産ラインの重要な工程にカメラを設置し、従業員の活動をモニタリングしている。設置の大きな目的は、工程手順を確認するとともに、異物混入など、ミス発生の防止だ。だが、それだけではない。映像を通して作業内容を分析して、無駄が生じていないかを正確に把握して、生産性向上のために適切な対策を講じる資料としても使っている。やはりこれも、防犯というリスクをカバーする使い方ではなく、プラスを生む使い方だ。

見える化で経営へのプラス効果を狙う

 セキュリティーカメラの新しい活用法が増えている要因の1つに、機器の高性能化が挙げられる。最近のカメラの性能は驚くほど高く、店舗にいる従業員の表情や生産ラインの担当者の手元までしっかりと映し出す。だからこそ、どんな表情で来店客に接しているか、生産作業が無駄なく行われているかがチェックできる。こうした繊細な情報が手に入らなければ、適切かつ具体的な改善指示は出せない。

 高画質のカメラが、従来よりもローコストで設置できるようになったことに加えて、音声も同時に録音できる機能や、ネットワークに対応している機器が増加したのもカメラ活用の幅を広げるのに一役買っている。

 高画質、音声、ネットワーク対応――。これらの機能によって、遠隔地からでも現場状況を正確かつ詳細に把握できるようになった。これによって実現されるのは、現場の“見える化”だ。実際に映るものの向こう側に、業績向上という潜在的な効果が得られる。

 多様な目的で使うからこそ、場合によっては特殊な機能を備えたカメラやシステムが必要になることもある。例えば、小売業で店舗の来客分析を行う場合には、来店者の動きを画像として捉える機能が役に立つ。

 せっかくの現場情報を防犯のみに使っていてはもったいない。眠っている経営資源の1つとして、一歩踏み出したセキュリティーカメラの利用を考えてみてはどうだろうか。

SID : 00103001

執筆=高橋 秀典

執筆=高橋 秀典

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