小さな会社のトラブル抑止(第6回)

落書きやゴミの不法投棄。軽犯罪に店舗が悩む

2018.07.11

クリップについて

 店舗経営者の多くを悩ませているのが落書きやゴミの不法投棄だ。例えば、落書きは器物損壊罪や軽犯罪法違反に問われる立派な犯罪だが、街のあちらこちらで見るのはご存じの通り。ゴミの不法投棄も廃棄物処理法違反に問われるが、建築廃材などの産業廃棄物ならばともかく、道端や店頭のゴミ箱に家庭ゴミを捨てるぐらいなら罪の意識は薄い。「この程度」と思うのか、なかなか無くならない。

 こうした迷惑な行為の被害者は、いちいち届けても意味がないと思っているためなのか、どの程度起こっているのか、統計データもほとんど見当たらない。自治体も禁止条例の制定や啓発ポスターの制作・掲示、さらにはパトロールの実施といった対策を講じているが、被害は続いているのが現状だ。

 犯人は軽い気持ちでやっていても、被害を受けている側にとって深刻な問題であることは間違いない。犯人を捕まえるよりも、再発を防止したい。それが経営者の本音だろう。

 都内の繁華街でレストランを営むY氏は、長年にわたって落書きやゴミの不法投棄といった迷惑行為に苦しんできた。それらは店舗を営業していない深夜や休日に発生するので、ほとほと困っていた。

「朝、自宅から店に来ると、店の入り口の前にゴミ袋が置かれているんです。たまになら我慢しますけど、ほとんど毎日ですよ」とY氏。しばらくは店内に運んで片付けていたが、次第に腹立たしくなり、対策を考えるようになった。こうした行為が次第にエスカレートして、いずれは放火などの犯罪につながるのではないかという不安も芽生えたという。

ゴミの不法投棄防止に監視カメラを付けようとしたが

 レストランは駅前商店街の一角にある。日中はにぎやかな場所だが、閉店後はスタッフが帰宅して無人になる。もちろん、自宅と兼用しているわけではないY氏が24時間365日見張っているわけにもいかない。

 そこで、Y氏が検討したのが監視カメラの設置だった。しかし、導入費用と手間を考えるとちゅうちょせざるを得なかった。まず警備会社に問い合わせたところ、かなり高額な見積書が届いた。「ゴミを置かれないようにすることが目的にしては、ちょっと高過ぎると感じた」とY氏。

 コストを抑えるため、インターネットの通販サイトを検索し、手ごろな価格のカメラを見つけだしたものの、別の問題が明らかになった。作動させるための「電源」の確保だ。建物の外壁にはコンセントがなく、専門業者に工事を依頼する必要がある。貸しビルを借りて営業しているので、貸主に連絡して了解も取らなければならない。被害者の自分がなぜ、こんな費用と手間をかけなければならないのかと怒りを感じたという。

自衛を考えた方が現実的、費用もリーズナブルに

 店舗の場合、ゴミの不法投棄や落書きといった迷惑な行為があると、運営していく中で、経営者や従業員の非常に大きなストレスになってしまう。処理の手間や費用も無視できない。自分が捨てたのではないからといって店頭にゴミを放置しておくわけにはいかないので、すぐに片付けなくてはならない。シャッターに落書きされた場合、できるだけ早く消さないとだらしない店と思われてしまう。

 しかし、警察などに届けても、犯人を捕まえるのには時間がかかり、かなり難しいのが現実。それならばある程度費用をかけても対策を講じて自衛してしまう方がよほど手っ取り早い。一刻も早く行動に移して、迷惑な行為の被害に頭を悩ませる分を、売り上げ向上策の立案に振り向けた方が経営的にはプラスになるだろう。

 対策として最も威力を発揮するのは、防犯カメラの設置だ。撮影画像によって犯人の特定や証拠の確保ができるだけでなく、犯罪を未然に抑止する効果も期待できる。従来は前述のY氏のケースのように費用と手間のハードルが高かったが、現在は、価格が安く、電源不要で、撮影データもワイヤレスで受け取れるカメラが増えている。カメラは手のひらに載る小型サイズで、データはクラウドに保存するので記録機器が不要なものもある。こうしたタイプなら設置費用も安く、借り店舗の場合も貸主の許可を取りやすい。

 重大な犯罪の証拠にする目的ならより本格的な機器を用意する必要もあるが、迷惑な行為をやらないように注意を促すといった目的なら、気軽に導入できるこうした製品で十分だ。店舗運営の必要コストとして割り切って導入を検討してもいいだろう。

SID : 00112006

執筆=林 達哉

執筆=林 達哉

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