めざせデジタルインフラの構築(第9回)

百花繚乱スマホ決済、“マルチ決済”が狙い目

2019.05.15

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 今や生活に欠かせない存在になっているスマートフォン。電話にメール、ネット閲覧をはじめ、生活のさまざまな場面で活躍する。中でも最近、新しいスタンダードになりつつあるのが、スマホを使った決済だ。画面に表示したQRコードをスキャナーに読み込ませるか、直接本体をレジにかざすだけで支払いが完了する。事業者によっては、お得なポイントもためられる。

 この「スマホ決済」に国内外の多くの事業者が続々と参入し、さながら戦国時代の様相を呈している。すべての店舗事業者にとって、いかに対応するかは大きな関心事といえる。

乱立するQRコード決済サービスの選び方

 日本で現金を使わない決済方法には、以前からクレジットカードがあった。カード会社ジェーシービーの調査によると、日本の20代から60代における2018年のクレジットカード保有率は84%に達した。便利な決済方法として十分認知されたといえる。それを追うように普及し始めたキャッシュレス決済が、交通系や流通系のプリペイド式電子マネーと呼ばれる方式だ。JR東日本の「Suica」や、イオングループの「WAON」などが該当する。

 最近、勢いづくキャッシュレス決済が、スマホを使う方式だ。これには2方式ある。ICチップをリーダーにかざして決済する方法(おサイフケータイなど)と、スマホの画面にQRコードを表示させて決済する方法(PayPay、Origami Payなど)だ。特に最近、QRコード決済方式の勢いが著しい。

 こうしたスマホ決済は、中国や韓国で先に普及した。日本では、そうした国からの旅行者のインバウンド需要を狙う手立てとして浸透が始まった。すでに家電量販店やドラッグストア、コンビニエンスストアといった大規模チェーンでは対応が当たり前だ。

 「海外からの旅行者だけなら、ウチには関係ない」と傍観できた店舗事業者も、国内の一般消費者に利用が拡大すれば、黙って見ているわけにはいかない。

 そんな中で悩ましいのが、乱立するキャッシュレス決済サービスの、どれを導入すればいいのかという問題だ。店舗側のキャッシュレス決済導入メリットの1つは、現金の取り扱い減少や、売買記録が残ることなど、店舗業務の合理化にもつながる点だ。それを考えれば、なるべく手間をかけずに導入でき、従業員への教育など運用が面倒でないのが理想といえる。現状、多くの決済サービスがしのぎを削り、各事業者は導入する初期コストを抑え、手続きも容易にしている。ただ、たくさんあるスマホ決済サービスをそれぞれ個別に契約すると、導入と従業員教育には手間がかかる。

 なぜなら、サービス事業者によって導入後の運用手順が異なるからだ。個別に導入すれば、全種の扱いを従業員に覚えてもらわなくてはならない。トラブルがあれば、それぞれ個別のサービス事業者に問い合わせなくてはならない。各社が送ってくる決済内容をまとめる手間も無視できない。こうした運用側の負担を考慮すると、たくさんのスマホ決済サービスを個別に導入するリスクは大きいということになる。だが、たくさんの種類を導入しても、負担を抑える方法がある。

マルチ決済サービスを導入すれば運用負担は減る

 個別導入で生じる問題を解決する方法には、「マルチ決済サービス」の導入が考えられる。複数の決済サービスをまとめて契約し、一元的に管理するのだ。個別に契約した場合と比較すると決済手数料が割高になる場合もあるが、なんといっても多数の決済を一度に導入でき、多様な顧客ニーズに対応できるメリットは大きい。個別に契約する手間が省け、従業員教育も楽になる。決済内容をまとめる手間もいらなくなる。ただ、対応する決済や必要な機器、決済手数料はそれぞれ異なる。比較して慎重に選びたい。

 マルチ決済サービスには多くの選択肢がある。例えば、ロイヤルゲートの「PAYGATE Station」は、ハンディータイプのマルチ決済端末を利用する。クレジットカード、電子マネーに加えてQRコード決済も可能な本体には、プリンターも搭載される。1台で決済を完結できる。他にもNTTデータの「CAFIS(キャフィス)」、スマートテクノロジーズ&リソーシーズの「ST&R」、NIPPON Tabletが提供する「NIPPON Tablet(ニッポンタブレット)」など、たくさんある。

 NTT西日本の「フレッツ・スマートペイ」も、同社の光アクセスサービスを利用する店舗に対してQRコード決済などもできる端末と、事業者との加盟店契約締結のサポートを新たに提供する予定だ。初めて端末を使用する場合や、複数事業者との契約を一元管理したい店舗に適する。すでに可能となっているクレジット決済への対応に加え、訪日外国人客向け決済サービスとして知られる「WeChat Pay(微信支付)」「Alipay(支付宝)」をはじめ、「LINE Pay」「d払い」「PayPay」といったスマホによるQRコード決済の対応を予定している。

 個別に導入するにせよ、マルチ決済サービスを導入するにせよ、重要なのは使いやすさとアフターフォローだ。スマホなどの情報端末の操作に不慣れな従業員も少なくない。ミスなく使えなければ、効率化が実現しないどころか、顧客とのトラブルの原因にもなる。トラブルが起きてしまったら、迅速な対応を求められる。トラブル対応が充実しているかも、重要なチェックポイントだ。

SID : 00113009

執筆=林 達哉

執筆=林 達哉

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