ITで働き方を変える(第1回)

テレワークの要。デスクトップとアプリの仮想化

2018.02.14

クリップについて

 モバイルやインターネットを利用して社外からいつでも、どこでも必要な情報にアクセスして業務が行えるテレワーク。社員のワーク・ライフ・バランスの実現や、人材確保につながる働き方改革の切り札として注目されている。テレワークは企業の命題である労働生産性の向上にも効果がある。総務省「平成28年通信利用動向調査」(2016年)によると、テレワークを導入している企業は13.3%。導入目的は「定型業務の効率性(生産性)の向上」「勤務者の移動時間の短縮」、「顧客満足の向上」と答える企業が多い(回答数は262社)。

安心してテレワークを導入できるIT環境

 テレワークについて、「非常に効果があった」(30.1%)、「ある程度効果があった」(56.1%)を合わせると86.2%が効果を認めている。一方、同調査ではテレワークを導入しない理由を企業に尋ねている(回答数は1674社、複数回答)。「テレワークに適した仕事がないから」(74.2%)、「情報漏えいが心配だから」(22.6%)、「業務の進行が難しいから」(18.4%)などと答えている。

 生産現場など業務の特性上、テレワークに適した仕事がないので導入しないのは理解できるが、情報漏えいが心配でテレワークを導入しないのは、企業にとってせっかくのチャンスを逸するに等しい。調査でも明らかになっているように、すでにテレワークを導入している企業の多くが効果を実感している。

 とはいえ、情報漏えいが心配という企業の懸念も理解できる。そこで、安心してテレワークが行えるIT環境を考えてみよう。

 テレワークの基本は「3つのA」。「いつでも(Anytime)」「どこでも(Anywhere)」「どんな端末でも(Any Device)」対応できる、だ。適切な労務管理の下、ライフスタイルなどに合わせて、いつでも(Anytime)働くことができれば、働く人の自由度が増し、仕事に対するモチベーションも高くなる。

 さらに、業務用端末の置かれたオフィスだけでなく、場所の制約なく(Anywhere)、社外でも必要なデータにアクセスしながら業務が行えれば、企業の命題である生産性の向上や業務の効率化を促進できる。

 外出先や自宅など、社外で業務を行う上でポイントになるのが、どんな端末でも(Any Device)利用できることだ。オフィス内では基本ソフト(OS)や仕様などを統一したパソコンを利用しても、在宅勤務を行う社員の自宅ではパソコンのタイプもさまざまだ。また、せっかくならパソコンだけでなく、スマホやタブレットを利用して業務アプリケーションにアクセスできるようにもさせたい。

仮想デスクトップで営業活動をスピードアップ

 こうした要望に応えるのが仮想化技術を利用した仕組みだ。大きく2つが考えられる。仮想デスクトップとアプリケーション仮想化だ。

 仮想デスクトップは、操作するパソコンのデスクトップ環境を仮想化する技術。データはクラウド上にあるサーバーストレージに保存され、手元の端末にはデータが残らない。外出先からも安全に利用できるのが特徴だ。また、サーバーへ接続できる端末であれば、パソコン、スマホ、タブレットなどの端末種類を問わずに利用できる。

 例えば、営業活動に仮想デスクトップを活用すれば、事務作業も提案もスピードアップできる。日報や伝票を書くためにわざわざ会社に戻らなくても、外出先の端末で事務作業が行える。移動時間の削減にもなる。

 また、提案の質も高められる。営業トークの中で、「あの資料を持ってきていれば」と思うケースがある。仮想デスクトップなら、ノートパソコンから社内の業務システムにアクセスして参考資料を表示できる。相手に画面を見せながら話を進めれば、商談のスピードアップにもつながる。

サービスの提供形態で負荷が変わる

 仮想デスクトップの提供形態は、自社でシステムを構築するオンプレミスの形態と事業者がクラウドサービス(Desktop as a Service:DaaS)として提供する形態がある。クラウドサービスはNECやNTT西日本グループのNTTネオメイトなどが提供している。

 NTTネオメイトは、VMwareの仮想デスクトップの製品である「VMware Horizon」を利用したクラウドサービスを用意。デスクトップのカスタマイズが可能でユーザーの自由度が高いフルクローン方式と、管理性が高いリンククローン方式に対応している。リンククローン方式ではセキュリティパッチやアプリケーションは、マスターOSに実施するだけですべての仮想デスクトップに適用され、パッチの適用漏れを無くし、運用管理の負荷軽減が可能だ。

 また、リンククローン方式ではデスクトップとユーザーを1対1でひも付ける専用割り当てと、ひも付けない流動割り当ての選択が可能だ。例えば専用割り当ての場合、ユーザー数が300であれば最大同時接続数も300で契約する。全ユーザーの同時接続を確保したい企業に適している。

 一方、流動割り当ては最大同時接続数分のデスクトップを用意し、例えば300ユーザーに対し、最大同時接続は200にするといった契約が可能だ。同時接続数が決まっている交代勤務などに適している。在宅勤務者のローテーションを決め、顧客の注文処理などを交代で行う業務などにも適用でき、社員の柔軟な働き方をIT面から支援する。

 導入後は利用するユーザー数が多くなる傾向があるため、ネットワークを介してクラウド上のデータを利用する仮想デスクトップのパフォーマンスを懸念する声も聞かれる。ネットワークの帯域も重要だが、仮想デスクトップで特にパフォーマンスに影響を与えるのはデータを読み書きするストレージの性能にある。そこで、NTTネオメイトでは仮想デスクトップごとに20IOPS(I/O per Second)のディスク性能予約を標準で用意し、突発的な負荷増加にもパフォーマンスを確保。社内、社外を問わず、快適に仮想デスクトップ環境を利用できる。

3Aを実現できるアプリケーション仮想化

 仮想デスクトップとともに、働き方改革に貢献すると期待されるのがアプリケーション仮想化だ。用途をアプリケーションに限定することで、仮想デスクトップよりも、低コストで利用できる。

 一般にアプリケーションはパソコンごとにインストールされ、必要に応じて追加・更新が行われている。パソコンの台数が多くなると、アプリケーションの管理を実施していることが多い情報システム部門の管理に関わる手間が増える。働き方改革の一環として、社員自身の端末を業務で利用するBYODを認める企業もあり、どんな端末でも業務で利用できるAny Deviceの環境が求められている。

 アプリケーション仮想化は、アプリケーションやデータをデータセンター、クラウド上で管理することにより、ユーザーは場所や端末の種類に制約されることなく、どこから、どんな端末でもアプリケーションを利用できる。

 そして、サーバー側でアプリケーションを実行した結果の「画面情報」のみ端末へ送信する。実データは送信しない。また、アプリケーションはサーバー側で集中管理するので、セキュリティや運用管理性の向上にも効果がある。業務に必要なアプリケーションのみ実行し、画面の小さなスマホやタブレットでも使いやすく設計すれば、ユーザーおよび運用管理者側の情報システム部門共に業務効率化が実現される。ひいては働き方改革につながるであろう。

 例えば、社外で安全に業務アプリケーションを利用し、社員の業務効率を高める使い方や、取引先に特定のアプリケーション(受発注など)を利用してもらう用途にも使える。取引先は利用する端末の種類に制約されずに、アプリケーションを利用できる利点がある。

 アプリケーション仮想化のクラウドサービスは、NTTコミュニケーションズNTTネオメイトなどが提供している。NTTネオメイトでは、アプリケーションの動作や移行方法の策定など、本格導入前に検証環境で確認できるPoC(Proof of Concept)プランを用意し、スムーズな導入を支援する。そのほか、テレワーク環境からセキュアなアクセスを実現する二要素認証などのオプションも提供している。

 アプリケーション仮想化や仮想デスクトップのクラウドサービスを利用すれば、いつでも、どこでも、どんなデバイスでも業務アプリケーションを利用できるテレワーク環境を実現できる。働き方改革は加速するはずだ。

SID : 00127001

執筆=山崎 俊明

執筆=山崎 俊明

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