ケースで学ぶ職場のトラブル防止法(第14回)セクハラをめぐるトラブル事例

トラブル対応

公開日:2019.07.08

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 2014年度に、雇用均等室に寄せられた男女雇用機会均等法に関する相談は、合計で2万4893件あり、このうち労働者からの相談が、1万2504件(50.2%)を占めています。そして、このうち、実に1万1289件(45.4%)がセクシュアルハラスメントの相談です。

 データによると、働く女性の3割がセクハラを受けた経験があり、そのほとんどが我慢している状態であるとか。セクハラであるかどうかは、これを受けた方の感情によるところが大きく、明確な基準が設定しにくいものです。

 米国では、セクハラを受けた女性が、社長と会社を相手取り、総額215億円もの損害賠償請求訴訟を起こした事件がありました。これほどではありませんが、日本でもセクハラに対する訴訟が増え始めています。当然、会社は、セクハラの基準について最低限の知識を得ておく必要があります。

 セクハラに関して事業主が講ずべき措置については、男女雇用機会均等法第11条第1項に、図表1のように規定されています。

セクハラの分類

 セクハラには「対価型セクハラ」と「環境型セクハラ」があります。その内容については、図表2の通りです。

事例1 昇進の代わりに性的な要求をした

A社の経理本部長であるBは、忘年会の席で、たまたま隣に座っていた女性社員Cに「課長に昇進させてあげるから、忘年会が終わったら2人でホテルに行こう」と、性的関係を迫りました。Cは、その日以後、これがトラウマになり会社に出社できなくなってしまいました。

 これは、典型的な対価型セクハラの例です。労働者の意に反する性的な言動に対する労働者の対応(拒否や抵抗)により、その労働者が解雇、降格、減給、労働契約の更新拒否、昇進・昇格の対象からの除外、客観的に見て不利益な配置転換などの不利益を受けることを対価型セクハラといいます。

 もちろん会社の上司などが、自分の地位を利用して、部下に性的要求をすることも対価型セクハラと受け取られます。対価型セクハラには、図表3のような例が挙げられます。

 どの例を見ても、情けないくらい幼稚な感覚の上司であるとしか思えません。会社は、定期的に管理職研修などの研修を行い、日ごろから管理職としての心構えを、しっかり植え付けておく必要があります。

事例2 ヌードカレンダーを置いている

D社の経理課長Eは、机の上にヌードカレンダーを置いているのですが、新入社員として経理に配属された女子社員Fは、「耐えられない」と、経理部長Gに訴えました。しかし、Gは、「その程度のことは大人なんだからいいじゃないか」と、取り合ってくれません。Fは、雇用均等室へ相談に行きました。

 会社で多くの従業員が目にするところにヌードカレンダーを置いたり、水着のポスターを貼ったりすることは環境型セクハラと見なされることになります。もちろんセクハラに該当するかどうかの判断基準には個人差がありますが、1人でもそれを不快に感じるのであれば、すぐに会社として対処しなければなりません。

直接的な行為だけでなく、噂を立てることもNG…

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