ロングセラー商品に学ぶ、ビジネスの勘所(第4回)地域の名物考案の先駆者、夜のお菓子「うなぎパイ」

スキルアップ

公開日:2019.03.26

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 「夜のお菓子」のキャッチフレーズでおなじみの「うなぎパイ」。出張などのお土産で、一度は口にしたことがあるのではないでしょうか。うなぎパイは、静岡県浜松市にある有限会社春華堂が1961年に販売を開始し、今も愛され続けているロングセラーです。

 春華堂の創業は、明治期にまで遡ります。茶屋を営んでいた初代の山崎芳蔵氏が、1887年に甘納豆を売り出したのが菓子店としての始まり。そして1941年には二代目の山崎幸一氏がタマゴ型最中「知也保(ちゃぼ)」を考案し、当時は珍しかった菓子の実用新案を取得します。この知也保と甘納豆が、春華堂の看板商品でした。

 しかし、幸一氏は2つの看板商品に飽き足りていません。「浜松らしいお菓子を作りたい」。この思いが、幸一からずっと離れませんでした。そんな折、幸一氏は旅先で「どこから来たのか」と聞かれます。「浜松です。浜名湖の近くです」と答えると、「ああ、うなぎのおいしいところですね」と相手はうなずきました。

 浜松といえば浜名湖で、そのイメージはうなぎ。この会話にヒントを得た幸一は、旅から戻るとうなぎをテーマにした菓子作りを決意します。しかし、うなぎと菓子という組み合わせは相当にユニークです。参考にできるような菓子もなく、試行錯誤の日々が続きました。

 うなぎのイメージを菓子の形に反映させようと、生地を細長くしたり頭をひねったりしますが、焼き上がりが安定しません。串を刺してかば焼き風にもしてみますが、串が抜けずに食べにくいものになってしまいました。

キャッチフレーズの誤解を逆手にとったパッケージング…

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執筆=山本 貴也

出版社勤務を経て、フリーランスの編集者・ライターとして活動。投資、ビジネス分野を中心に書籍・雑誌・WEBの編集・執筆を手掛け、「日経マネー」「ロイター.co.jp」などのコンテンツ制作に携わる。書籍はビジネス関連を中心に50冊以上を編集、執筆。

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