実務にそのまま使える!労務管理書面(第9回)

みなし労働時間制に関する書面1

2020.06.09

クリップについて

 みなし労働時間制は、営業や出張のように会社外にいて労働時間の算定が困難、あるいは業務の遂行方法が社員の裁量に委ねられて、通常の方法による労働時間の算定が不適切な場合に採用される制度です。

 長時間労働の温床になりやすい制度なので、使い方を誤らないようにする必要があります。例えば、労働時間とみなした時間では終わらない量の仕事を与え、適切な割増賃金を支払わなかったり、労働時間の算定が可能であるにもかかわらず、本来行わなければならない労働時間の管理をあえて行わなかったりする悪質な企業もあるようです。

 みなし労働時間制には、次の3つがあります。

1. 事業場外労働に関するみなし労働時間制
2. 専門業務型裁量労働制に関するみなし労働時間制
3. 企画業務型裁量労働制に関するみなし労働時間制

事業場外労働に関するみなし労働時間制

 直行直帰で業務を行うような場合、始業時刻、終業時刻を会社で管理することが難しいため、事業場外労働に関するみなし労働時間制を採用し、その日の労働時間を算定します。事業場外労働に関するみなし労働時間制は、労働基準法第38条の2に規定されています(図表1参照)。

 労働者が行った事業場外での業務について、労働時間を算定し難いときは、図表2の「労働時間の算定方法」で掲げたように、原則、所定労働時間労働したものとみなします。

 労使協定で定める時間が法定労働時間を超えない場合は届け出の義務はありませんが、労使協定で定める時間が法定労働時間を超える場合は、図表3の「事業場外労働に関するみなし労働時間制に関する労使協定」を所轄労働基準監督署長に届け出なければなりません。

■図表3 事業場外労働に関するみなし労働時間制に関する労使協定(ダウンロード

 もし、この労使協定を届け出なければ、法定労働時間を守っていないと解され、労働基準法第32条違反となり、6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科されます。

専門業務型裁量労働制

 専門業務型裁量労働制は、業務の遂行の方法などが社員の裁量に大きく委ねられている専門的な業務について利用される制度です。専門業務型裁量労働制を採用できる業務は、図表4の19業務に限定されています。

 実際の労働時間数に関係なく、一定の労働時間、労働したものとみなされる制度であり、労働基準法第38条の3に規定されています(図表5参照)。

専門業務型裁量労働制の採用要件

 専門業務型裁量労働制を採用するためには、労使協定に図表6に示す事項を定め、所轄労働基準監督署長に届け出なければなりません(図表7参照)。もし、この労使協定を締結していなかったり、届け出ていなかったりした場合は、30万円以下の罰金が科されます。

■図表7 専門業務型裁量労働制の労使協定例(対象業務:建築士)(ダウンロード

SID : 00146009

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