実務にそのまま使える!労務管理書面(第12回)

妊娠から産後休業までに関する書面

2020.09.08

クリップについて

 男性にも女性にも均等な機会を与えなければならない、賃金などの労働条件を差別してはならない。これは現代社会においては当然のことです。

 その一方、性別によってライフステージが異なるのも事実です。女性は妊娠して、出産します。もちろん、これは女性特有のものであり、女性の妊娠や出産に関しては、母性保護の観点から、労働基準法、男女雇用機会均等法、育児・介護休業法に規定されています。女性から妊娠や出産の報告を受けたときの対応についてよく知っておかなければ、女性社員は気持ちよく働くことができません。

妊娠の報告を受けたとき

 女性が妊娠して出産するまで、さらに出産後は、産前産後休業、育児休業と会社を休む機会が増えることになります(図表1、図表2、図表3、図表4参照)。

 出産予定日はいつか、産前休業はいつから取得する予定なのか、育児休業を取得する予定はあるかなどを、会社はある程度把握しておかなければなりません。また、出産した女性は、そのまま育児休業に入る可能性があります。

 ちなみに、育児休業を取得することができるのは女性社員ばかりではありません。妊娠・出産は女性しかできませんが、育児については男性も可能ですから、男性が育児休業を取得することも認められています。会社は、育児休業の仕組みについて知っておく必要があります。

 妊娠した女性が休業する可能性がある期間は図表5に示した通りです。つまり、妊娠した女性が会社を休業するとき、その最長期間は、図表6のようになります。

 そして、会社は、この期間について業務が滞らないよう、別の人材を補充しなければなりません。妊娠し、出産した女性社員が休業している期間、人員を補充しなければならないのであれば、その段取りを組まなければなりません。

 そのためにも女性社員から妊娠の報告を受けたら、まずは「出産予定日」を報告してもらう必要があります。その上で、産前休業に入る前の労働についてどのようにする予定であるのか(例えば、時間外労働をするのか、しないのか、休む予定はあるのか)、あるいは、育児休業を取得する予定があるのかどうか、復職予定日はどのくらいになりそうかなどを聞いておきましょう。

保健指導などの時間の確保

 会社は、女性社員が、妊産婦のための保健指導や健康診査を受診するために必要な時間を確保することができるようにしなければなりません。これは、男女雇用機会均等法第12条に規定されています(図表7参照)。

 健康診査などを受診するために確保しなければならない回数は、妊娠23週までは4週間に1回、妊娠24週から35週までは2週間に1回、妊娠36週以後出産までは1週間に1回となっています。また、出産1年後までについては、医師などの指示に従って必要な時間を確保する必要があります。

 妊娠中や出産後の女性社員が、健康診査などを受け、医師などから指導を受けた場合は、その女性社員が受けた指導を守ることができるようにするために、事業主は勤務時間の変更や勤務の軽減などの必要な措置を講じなければなりません。これは、男女雇用機会均等法第13条に規定されています(図表8参照)。

 指導事項を守ることができるようにするための措置には、次のように3種類あります。

(1)妊娠中の通勤緩和(時差通勤、勤務時間の短縮などの措置)
(2)妊娠中の休憩に関する措置(休憩時間の延長、休憩回数の増加などの措置)
(3)妊娠中、または出産後の症状などに対応する措置(作業の制限、休業などの措置)

 図表9に、出産前後の女性社員に確認しておくべきことをまとめました。

■図表9 出産前後の予定ヒアリングシート(ダウンロード

軽易な業務への転換

 妊娠している女性が軽易な業務への転換の請求をした場合は、使用者は、ほかの軽易な業務に、この女性を転換しなければなりません。ただし、新たに軽易な業務を創設してまで与える義務まで課されたものではありません。これについては労働基準法第65条第3項に規定されています(図表10、図表11参照)。

■図表11 配置転換に伴う労働条件の変更通知書(ダウンロード

SID : 00146012

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