トレンドワードから効率化を読む(第22回)日本におけるテレワークの普及率とは?

ネットワークセキュリティ テレワーク

公開日:2020.12.14

  • PDF PDF
  • ボタンをクリックすることで、Myクリップ一覧ページに追加・削除できます。追加した記事は、「Myクリップ」メニューからいつでも読むことができます。なお、ご利用にはBiz Clipに会員登録(無料)してログインする必要があります。

 テレワークは新型コロナウイルスの流行以前から、働き方改革を進める施策の一つとして政府によって推進されていました。

 しかし諸外国と比較すると、日本のテレワーク普及率は高いとはいえず、新型コロナウイルスによって少しずつ普及し始めている状況です。

 では、実際に日本におけるテレワークの普及率はどの程度なのでしょうか。今回は、日本におけるテレワーク普及率を明らかにするとともに、日本と世界の比較、日本でテレワークが普及しにくい理由などについて解説します。

日本におけるテレワークの導入率とその現状

 日本のテレワーク導入率・普及率に関する調査として、総務省が公表している「令和元年通信利用動向調査」があります。

 この調査によると、令和元年時点では、従業員数100人以上の企業でテレワークを導入している企業の割合は20.2%であり、そのうち300人以上の企業が32.1%、300人未満の企業が15.1%という結果でした。

 テレワークは大企業ほど導入が進んでいるものの、普及率は全体の2割程度です。今後テレワークを導入する予定がある企業を含めても29.6%にとどまり、まだまだ普及しているとはいえない状況です。

 ただし、テレワークの導入は年々増加傾向にあり、新型コロナウイルスの影響によって普及が加速しています。

 東京都内に限り、2020年5月に都が調査・発表した内容を参考にすると、都内企業(従業員数30人以上)のテレワーク導入率は62.7%にのぼり、3月時点の24.0%から大きく伸長したのが分かります。

 なお、令和元年時点における全国の従業員300人以上の企業のテレワークの導入率は、産業・業種によって大きく開きがあります。導入率が高い産業としては「情報通信業(46.5%)」「金融・保険業(40.7%)」が挙げられます。

 反対に導入率が低い産業は「運輸・郵便業(11.7%)」「サービス業・その他(16.5%)」となっています。

世界のテレワークの普及状況とは?

 日本は世界的に見るとテレワークの普及状況はあまりよくありません。特に欧米諸国はテレワークの普及が進んでいるのに対して、日本を含むアジア地域の普及率は低いことが分かっています。

<普及率が高い米国、その理由>
 テレワークの普及率が高い国の1つが米国です。米国ではテレワークの企業導入率は85%と非常に高く、連邦政府も2010年にテレワーク強化法を成立し、国全体でテレワークを推奨しています。

 米国では個々における仕事の範囲や責任が明確になっており、目標管理と成果による業績評価が定着していることや、労働時間の管理規制が緩く柔軟な働き方がしやすいことなどが普及率の高い理由として挙げられます。

 カナダやフィンランドにおいてもテレワークの普及率が高くなっています。カナダではもとより仕事を大事にしながらもプライベートの時間を優先する文化があり、それがテレワークという働き方にマッチしやすいことが、普及率の高さの一因と考えられます。

 フィンランドでは、遠距離通勤を避けることやワークライフバランスの実現を目的に、長年政府が積極的にテレワークを推進してきたことが、普及率の高さにつながっていると見られます。

<普及率が低い韓国・シンガポール、その理由>
 テレワークの普及率が低い国は、韓国やシンガポールです。韓国のテレワーク企業導入率は1%未満、シンガポールは民間全体で5.4%という調査結果が出ています。

 両国は日本と同じように長時間労働が定着しています。特にシンガポールでは伝統的に固定時間制度が根強い理由で、テレワークの普及が進んでいないようです。

日本でなかなかテレワークが普及しにくい理由とは?

 世界的に見ると、日本もテレワークが普及しているとはいえません。これは日本独自の企業文化などが一因と考えていいようです。ここでは、日本でテレワークの普及が進まない理由と併せて、テレワークの普及を進める対策方法について見ていきましょう。

<普及が進まない理由>
 日本でテレワークの普及が進まない理由・原因は、主に次の4つが考えられます。

・従業員の管理が難しい
 テレワークを導入すると、従業員がどの程度働いたのかを管理するのが難しくなります。

 従来はオフィスに出社している間を勤務時間とするケースがありますが、テレワークでは実際に働く姿が見にくくなります。

 そのため、テレワークの導入には勤怠管理に関するシステム導入や運用が必要になり、それが理由で普及が進んでいないと思われます。

・ハンコ、紙書類中心の企業文化
 ICTが発達した今日でも、日本にはハンコや紙書類中心の企業文化が根強く残ります。これがテレワークの普及が進まない理由の一つになっています。

 新型コロナウイルスの流行に伴う外出自粛要請の際も、自宅でテレワークを実施しているにもかかわらず、契約書などに押印するために出社したというケースもあります。

・設備、機器の不足
 新型コロナウイルスの流行でテレワークを導入した企業が急増すると、テレワークに必要な設備・機器が不足するケースも発生しました。

 このように、設備や機器の不足で準備が追いつかず、なかなかテレワークを導入できない状況も見られます。

・セキュリティ面の問題・不安
 テレワークの導入に二の足を踏む大きな要因に、セキュリティ面の問題が挙げられます。

 テレワークは自宅など社外からインターネットを経由して社内ネットワークに接続するケースが多いです。セキュリティに問題があると、情報漏えいなどの問題が発生するリスクが高まります。

 このようなセキュリティ面の問題や不安のために、普及が進まないとも考えられます。

<普及を進めるためには>
・セキュリティ対策の徹底
 テレワークの普及を進めるには、まずはセキュリティ対策の徹底が必要です。

 社内ネットワークへの接続にVPNを利用したり、従業員が利用する端末の状態を一元管理できるツールを導入したりするなど、セキュリティ事故を防ぐ対策を行います。

 また、システム的なセキュリティ対策だけでなく、従業員一人ひとりがセキュリティ意識を持つことも重要になってきます。セキュリティ教育も含めた統括的な対策が求められます。

・評価システムの見直し
 在宅勤務という働き方を推し進めるためにも、評価システムの見直しを図り、会社全体で共有する必要があります。

 テレワークによって、企業側は従業員の仕事のプロセスが見えづらくなり、勤務評価が上司の印象で決まってしまうケースも考えられます。

 一方、従業員も、正当な評価をしてくれないのではないかと会社に不信感を抱くケースも想定され、仕事へのモチベーション低下が危惧されます。そのような事態にならないように、評価システムの見直しが重要になります。

インフラの整備
 テレワークを快適に実施するには、ネットワーク環境をはじめとするICTインフラの整備が重要です。

 ネットワーク環境やセキュリティ対策の整備、コミュニケーションツールの導入、新しい働き方に対応した勤怠管理システムの整備などが求められます。

 テレワークを導入する際には、テレワークでの業務を円滑にし、生産性・効率性を高めるためにも、このようなインフラをしっかりと整えることが大切です。

テレワークの困った!にはNTT西日本の「パソコンおまかせプラン」

 日本のテレワーク普及率・導入率は、年々増加傾向にあるものの、世界的に見るとまだまだ高くはないのが現状です。

 新型コロナウイルスの影響で普及速度は加速していますが、日本独自の企業文化が普及を遅らせる理由・原因にもなっています。

 テレワークの普及を進めるには、セキュリティ対策の徹底や評価システムの見直し、インフラの整備などが重要になります。さまざまな課題があるので、これからテレワークを導入される方は悩むかもしれません。

 NTT西日本では、「パソコンおまかせプラン」を用意し、次のようなお悩み解消をサポートできるよう準備を整えております。

・スケジュールや資料を共有したい
・場所を選ばずに会社データにアクセスしたい

 テレワークの導入でお悩みの方は、ぜひ「パソコンおまかせプラン」にお任せください。

※掲載している情報は、記事執筆時点のものです

執筆=太田 勇輔

ネットワークスペシャリスト、情報セキュリティスペシャリスト保有。インフラエンジニアとして、官公庁や銀行などのシステム更改をメインに10年従事した後、IT関連ライターとして活動中。プログラミング、ネットワーク、セキュリティなどの解説記事を中心に執筆している。

【M】

あわせて読みたい記事

  • ITで働き方を変える(第4回)

    テレワークで持ち出せるパソコンを環境ごと任せる

    テレワーク パソコン

    2020.03.25

「ネットワークセキュリティ」人気記事ランキング

連載バックナンバー

トレンドワードから効率化を読む

オンラインセミナー動画

人気
  • 新着記事

配信期間

配信期間:2023年9月15日(金)~2024年8月30日(金)

セキュリティ関連

【経済産業省サイバーセキュリティ課登壇】 サイバー攻撃に対して中小企業が取るべき対策とは