健康が一番!心と体の守り方、鍛え方(第2回)

豊かな睡眠が脳を元気にし、集中力もUP(後編)

2020.06.22

クリップについて

 集中力をアップさせる方法の前編では、集中力の持続時間やその計り方、集中するための環境づくりについて紹介しました。今回は集中力を高めるための睡眠の重要性を解説した上で、より具体的な集中力をアップする方法を説明します。

 集中力は脳にあります。うつ病をはじめとする精神科の病気、つまり脳の病によって、集中力は下がります。集中力を高めたければ、脳を元気にしておくことが大切です。脳を元気に保つために一番大切なのは睡眠です。忙しいと睡眠を削って、仕事をする時間をつくろうとしますが、集中力がない状態で仕事をしても、時間ばかりかかって仕事が進みませんし、何より仕事の質が下がります。

 日本人は世界的に見ても睡眠が短い国民であり、厚生労働省の調べでは、睡眠時間が7時間以上取れている人はわずか27.4%で、「6時間以上7時間未満」が34.6%、「5時間以上6時間未満」が30.2%、「5時間未満」の人も7.7%いました(図表1参照)。

■図表1 1日の平均睡眠時間(年齢階級別、20歳以上)

※出典「平成30年国民健康・栄養調査」
https://www.e-stat.go.jp/stat-search/file-download?statInfId=000031934570&fileKind=0

 日本人の睡眠は、時間も質も落ちています。その状態で集中力を高くして仕事をするのは困難です。なぜなら、睡眠時間は脳をメンテナンスする時間であり、睡眠を削ると、良い思考ができなくなるからです。

 実験によれば、5日間の睡眠不足により集中力が下がった後、2日間たっぷり睡眠を取っても、集中力は全く改善されませんでした。つまり集中力を高めたいなら、睡眠不足にならないようにすること。平日の睡眠不足は、休日の寝だめでは全く解決しません。

 生活リズムを整えることも大切です。朝は一定の時刻に起きる、朝食をしっかり取る、食事は規則正しく適量を食べることで、体のリズムが整います。

種類別の集中力の高め方

 集中には、実は2種類あります。戦うといった「攻め」の集中と、逃げるといった「護り(まもり)」の集中です。自分のやりたいことをやり遂げようとするときの攻めの集中と、嫌だけど片付けなければならないことをやるときの護りの集中では、集中力の高め方にも多少違いがあります。

 攻めの集中の場合には、少しだけ難しいこと、つまり手応えのあるチャレンジをしましょう。易し過ぎても集中力は切れ、難し過ぎても集中を続けられません。チャレンジが成功したら、おいしいものを食べるなど、自分へのご褒美を用意しておくことで、さらに集中力を高められます。

 護りの集中は、逃げるイメージからも分かるように、やらないと悪い結果が起こるという恐怖心が集中力を高めます。締め切りを設定して時間を制限したり、他人に公開して、他人から見られる緊張感を生んだり、追い込むことが有効です。

集中しやすい時間帯と方法

 朝、起きて2~3時間後から午前中の間が、覚醒レベルが高く、最も集中しやすい時間帯です。次に集中しやすいのは、午後3時から夕方までです。夜は仕事の電話やメールが少ないため、ついつい集中しなければならない作業をしがちですが、これは間違い。ピンポイントで集中しやすい時間帯を、集中して行いたい仕事を行う時間帯に決め、その時間は邪魔が入らないようにすることで、仕事がはかどります。

 集中するためには、複数の作業を並行して行うマルチタスクではなく、1つの作業だけを行うシングルタスクにすべきです。特に中高年以降は、マルチタスクが苦手になっていきます。従って、仕事の内容を吟味して、作業単位を小さく切り分けましょう。

 例えば企画書を作る際には、下調べ、企画を練る、企画書にまとめるなど、作業を分けて考えるようにして、できればさらに細かく分けます。集中できる時間1単位ごとに作業を割り振ると、1単位終わるごとに、クリアの満足感も得られます。「仕事を完了!」というクリア感が集中力を高めます。また、1単位の「決まった時間内に仕上げなければ……」という締め切り設定も集中力を高めます。クリアしては休憩を取るというサイクルが次の作業時間のテンションを高め、集中力を上げます。

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執筆=森田 慶子

執筆=森田 慶子

医療ライター。1996年から、主に医師をはじめとする医療関係者向けの専門的な記事を執筆。2005年から患者向けや一般向けの医療や健康に関する記事も執筆。特に糖尿病や高血圧といった生活習慣病と、睡眠や認知症、うつ病などの精神科領域を専門とする。

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