Biz Clip調査レポート(第22回)

「テレワーク」企業の働き方意識調査2020

2020.05.25

クリップについて

 オフィス外で業務を行うモバイルワーク、自宅でも出社と見なす在宅勤務などのテレワーク、リモートワークにパラダイムシフトが訪れた。コロナ禍を受け、出社せずに勤務する状態を、多くの企業で採用せざるを得なかったからだ。在宅勤務に関しては、前年比で導入比率が倍増した。この状況は、緊急事態宣言が解除されたとしても、働き方としてある程度定着するのではないかと予想される。

 オフィス以外で働くテレワーク、リモートワークの企業の実態はどうか。経年で行っている調査結果とも比較しながら見てみよう。日経BPコンサルティングのアンケートシステムにて、同社保有の調査モニター1668人を対象に調査を実施した。

モバイルワークの障壁1位「セキュリティ対策」入れ替わる

 まずは、どの程度オフィス外で働くモバイルワークが実施されているかを見てみよう。最も多い「自社オフィス以外で働くことはほとんどない」(51.8%)は2019年2月実施時点よりも8.1ポイント減った。一方「時々オフィス以外で働く」(23.6%)は6.4ポイント上昇した。17年から19年にかけて前者が2.6ポイント減、後者が1.4ポイント増だったのを考慮すると、リモートワークが劇的に進んだのが見て取れる(図1)。

【図1 モバイルワークの現状について】

 次に、モバイルワークをする際に考えられる障壁について見てみたい。これまで最も回答率が高かった「情報漏えいなどのセキュリティ対策」が、今回初めて2位に順位を下げた(20.9%)。代わりに1位となったのが「ネットワーク、通信環境がオフィスで働くのと同等のレベルにない」の25.4%だ。この項目はこれまで17年13.4%、19年13.6%で共に3位だったもので、今回、実際にオフィス以外での勤務が実施される際に実感されたと推測できる。

 実際に経験したことにより、順位を大幅に上げたと考えられる項目がもう1つある。それが「IT機器がオフィスで働くのと同等のレベルにない」の18.5%だ。3位となったこの項目の伸びは顕著で、17年の調査時点では12.0%で7位。19年では10.5%で同じく7位だった。(図2)。

【図2 何がモバイルワークの障壁になっているのか】

在宅勤務の導入は19年と比べ倍増

 続いて、在宅勤務の状況を見てみよう。導入状況については、全体で59.1%が導入済みとの結果になった。19年の結果30.5%から28.6ポイント上昇した。従業員数別に見ると、99人以下の企業が42.2%で最も低く、1万人以上の企業に至っては84.0%が導入済みで、従業員数と導入率は比例関係にあるといえる(図3-1)。また、在宅勤務は地域差もある。主な都道府県の在宅勤務比率は図3-2のようになった。東京の74.9%を筆頭に、首都圏の比率が高い。東京への通勤圏なのも要因の1つと考えられる。

【図3-1 在宅勤務の導入状況(従業員数別)】

【図3-2 在宅勤務の導入状況(都道府県別)】

 在宅勤務制度の利用意向はどうだろうか。「利用したい・利用している」と答えたのは60.8%、「利用したくない・利用していない」と答えたのは29.8%だった。19年と比較すると、「利用したい・利用している」は25.8ポイント増。「利用したくない・利用していない」は19.8ポイント減となった。「分からない」との回答は5.9ポイント減少。17年から19年の間でも8.5ポイント減少しており、利用意向の明確化がさらに進んだ(図4)。

【図4 在宅勤務制度の利用意向】

 勤務先で在宅勤務制度が実施されているケースと実施されていないケースで、利用意向は変わるかどうかを調べた。在宅勤務導入済み企業では、86.2%が利用済み、または利用したいと思っている(図5)。一方、未導入企業では「利用したいと思っている」比率は31.2%。ちなみに19年は29.8%だった。他の調査結果の激変ぶりから見ると、この層においては変化がそれほどない(図6)。残りの68.8%は勤務先で在宅勤務が導入されたとしても、利用はしないと考えている。

【図5 在宅勤務導入済み企業の利用意向】

【図6 在宅勤務未導入企業の利用意向】

 在宅勤務の障壁については、モバイルワークの障壁とほぼ変わらないが、「情報漏えいなどのセキュリティ対策」(18.0%)が3位となっている。2位となったのが「IT機器がオフィスで働くのと同等のレベルにない」(20.9%)で、モバイルワークの18.5%よりも2.4ポイント高い(図7)。

【図7 何が在宅勤務の障壁になっているのか】

すべてのITシステム・機器で需要増

 最後に、モバイルワークや在宅勤務に必要なITシステム・機器が何かを聞いた。第1位は「パソコンなどの情報端末」(68.6%)で、19年の結果58.4%よりも10.2ポイント増となった。2位は「遠隔会議システム」(50.2%)で、19年比20.1ポイント増と最も高い増加率となった。「セキュアなネットワーク(専用VPN・暗号化規格Wi-Fiなど)」は、前回調査2位より1つ順位を下げたものの47.7%が選択。前回の36.3%より11.4ポイント上昇している。19年の結果と比較して、すべての項目で選択率が上回る結果となった(図8)。

【図8 モバイルワークや在宅勤務に必要なITシステム・機器】(2MA)

 現在は出社しなければ困難な、伝票のやり取りにまつわる「押印」や「郵送」を、暫定処置として省略したり、後送可としたりして対応する。だが、多くの人が「それだけのために、出社するのは非効率ではないか」と気付いている。事態が収束すれば元に戻る企業がある一方で、これを機に社内の承認フロー自体を見直す企業も出てくるはずだ。

 多くの企業がリモートワークを余儀なくされ、特にITツールの必要性が認識された。今後、働き方改革が浸透し、現在のリモートワークがスタンダートになるなら、IT環境の整備が一層重要となってくるに違いない。

<本調査について>
日経BPコンサルティングのアンケートシステムにて、同社モニター1668人を対象に2020年5月に調査

SID : 00014022

調査・執筆 = 日経BPコンサルティング

調査・執筆 = 日経BPコンサルティング

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