人生を輝かせる山登りのススメ(第21回)

達磨山でKさん夫婦から景色を伝えるコツを学ぶ

2017.03.24

クリップについて

 少し前に視覚障がい者のKさんといっしょに山登りを楽しんできました。いろいろな山に、いろいろな人たちと登っている私にとっても新鮮なものでした。今回はそのときの体験をお話します。

大切な山選び

 Kさんと山へ行くきっかけをつくってくれたのは、私の山友だちです。「視覚障がいの知人が山に登ってみたいと言っているので、一緒に行きませんか?」と誘ってくれたのです。誘いを受ける前から、視覚障がい者が介助者と共に山登りを楽しんでいるという話を聞いたことがあり、すぐさま興味を抱きました。きっかけがあれば、私の登山スキルを少しでも生かしたいと思っていたので喜んで参加しました。メンバーはKさんとその奥さん、私の山友だち、それに私と夫の5人です。

 山登りは今までまったく経験がないというKさんとの登山を計画するに当たって、まずは友人と一緒に慎重に山選びをしました。大切にしたポイントは、行程が2~3時間で、日帰りでも十分に時間の余裕が取れる山であること。この時期でも雪がないこと、岩場や崖などの危険箇所がないこと、それでいて多少の登り応えがあり、登山の楽しみを感じられる山であることです。

Kさんと共に大展望を楽しみながらのハイキング

Kさんと共に大展望を楽しみながらのハイキング

 私たちは静岡県にある達磨山(だるまやま)を選びました。伊豆という、みんなが集まりやすい温暖な場所にあり、標高は1000m近いので高原の雰囲気が楽しめるからです。多少のアップダウン、急な階段があるものの、コースの大半はなだらかな笹原で比較的歩きやすく、山頂まではコースタイムで2時間ほどと距離も手ごろ。登山道の近くを西伊豆スカイラインが通っているので、アクシデントがあったときはすぐに車道へエスケープできるというのも利点でした。私も視覚障がい者を案内するのは初めてだったので、緊張しながらも新しい経験ができることにワクワクしながらその日を待ちました。

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執筆=小林 千穂

執筆=小林 千穂

山岳ライター・編集者。山好きの父の影響で、子どものころに山登りをはじめ、里山歩きから海外遠征まで幅広く登山を楽しむ。山小屋従業員、山岳写真家のアシスタントを経て、現在はフリーのライター・編集者として活動。『山と溪谷』『ワンダーフォーゲル』など登山専門誌に多数寄稿するほか、山番組にも出演。著者に『女子の山登り入門』(学研パブリッシング)などがある。2014年に南米のチンボラソ(6310m)に登頂。

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